プレゼン大会に審査員として参加いただく特別ゲストの紹介です。おすすめ本を3冊、ご紹介いただいています。
1965年、兵庫県生まれ。同志社大学卒業。1988年 日経マグロウヒル社(現日経BP社)入社。 経営企画室、『日経ビジネス』編集部など を経て退職。 1993年 講談社入社。 『月刊現代』、『FRIDAY』、『週刊現代』各編集部、ジャーナルラボなどを経て、『現代ビジネス』創刊編集長、第一事業戦略部部長、コミュニケーション事業第一部部長 兼 IT戦略企画室担当部長などを歴任。2018年8月にスマートニュースに入社、同年8月に設立した『スマートニュース メディア研究所』の 所長に就任し、ジャーナリズムの発展や調査報道の支援に従事。
最後にでてくる及川卓也さんの解説だけでも読む価値があります。グーグルが導入して話題になったOKR。ひとつの目標 (Objective) に向かって、それに紐づく結果 (Key Results)を管理して生産性を高めるフレームワーク、OKRについてとても丁寧にわかりやすく解説した本です。ビジネスだけでなく、プライベートにも応用可能です。スマートニュース共同代表でエンジニアの浜本階生さんは仕事だけでなく、ダイエットに導入し、減量に成功したそうです。
女性が少ないといわれるエンジニアの職場ですが、だからこそジェンダーの問題を「働く人の教養」としてきちんと知っておかなければ、地雷をふむ可能性があります。優良企業といわれる会社のCMがなぜ炎上したのか、数多くの事例を踏まえながら、糾弾するのではなく、冷静に原因と対策を分析したこの本はとてもいい教科書になります。
「結果を出す人」と「出さない人」はどう違うのか?圧倒的に生産性が高い人と低い人は、どこで差がついているのか。その鍵を握るのがイシューなんです。イシューとは問題解決をするための課題のこと。この設定をまちがえたら、いくら長時間働いてもそれは「犬の道」です。生産性をどうやってあげていけばいいのか、ヤフーCSOで異才の安宅和人さんによる名著です。
アジャイルコーチ。株式会社アトラクタFounder兼CBO。一般社団法人スクラムギャザリング東京実行委員会理事。産業技術大学院大学特任准教授、東京工業大学および筑波大学非常勤講師。著書に『SCRUM BOOT CAMP THE BOOK』訳書に『アジャイルコーチング』『ジョイ・インク 役職も部署もない全員主役のマネジメント』。
ソフトウェア開発における設計原則を歴史的背景に触れつつ解説する本。実戦からはやや遠いのだけれど、シニアなソフトウェア技術者であれば経験の中で身につけてきているような大局を眺められるので、たとえば学生に全体性を理解してほしいときにリファレンスにできそうです。……と思いつつ実際はやってないのですが。
わたしが実行委員を務めるRegional Scrum Gathering Tokyoでは2015年からOSTを開催しています。大学教員のファカルティ・デベロップメントの場でもOSTを採用し、わたしがファシリテートしています。いずれもOSTの持つダイナミズムに驚かされるばかり。本書はOSTの場を成立させ機能させるためのファシリテーターガイドです。日本人著者による日本語の書き下ろしのため、国内の事例が豊富なところも推薦する理由です。
DevOpsというタイトルで自動化やツールの話と誤解されていそうな気がするのと、この本の少し前に出た『エンジニアリング組織論への招待』が大ヒットした影で霞んでしまった感のある良書です。アジャイルな組織文化をどう作るかというど真ん中の話なので、組織論、特にエンジニアリング組織に興味のある人にはぜひ手に取ってほしい1冊です。弊社のCTOが監訳をしていることは、本推薦と一切関係ないです!
2007年、株式会社ジュンク堂書店入社。ジュンク堂書店大阪本店、MARUZEN&ジュンク堂書店広島店(現・丸善広島店)、ジュンク堂書店広島駅前店を経て、現在、株式会社丸善ジュンク堂書店営業本部に勤務。入社以来自然科学書・コンピュータ書担当として店舗の仕入や棚づくり・販売を担当していましたが、最近は本部でのデータ分析や業務分析、業務システムの運用や改善などいろいろやっています。好きなコンピュータ書は『まつもとゆきひろコードの世界』。
特に文科系の大学生向けに書かれた「知的な大学生活の送り方」の本ですが、第一部では印税の仕組みや文芸雑誌の存在意義、本の豆知識や大型書店の使い方、ひいては岩波書店の取引条件にいたるような説明がなされていて、大学生でなくとも面白く読めます。出版流通の世界は今でもほとんど変わっておらず、その「裏側」に少しでも興味・関心をお持ちの方(例えばこのサイトをご覧になっているような読書家の方)におすすめです。第二部は実践的な「読み方の指南」で、例えば、ふだんコードや技術文書を読み書きする機会は多いけれど、考え方や意見が書かれた文章にふれる機会がどうしても減っているような方には程よい刺激になると思います。
90年代米国の「ホワイトカラーの長時間労働」を告発した本で、当時の生々しいインタビューの中には読者によっては「あーあるある」という同感を禁じ得ないものがあると思います。時代とお国柄は違えど「ワーカーホリック」という現象をあらためて知ることは「働き方改革」真っ只中の現代日本において重要なことですし「労働時間短縮の提案は、多くの企業幹部にはおおよそ非現実的で非愛国的な印象を与える(P.240)」という記述は今の日本でもそうかわりません。長時間労働と格差社会(階層化社会)の関係性は日本と米国ではまた違いますが、いままさに再考すべき問題だと思います。
収録された論考はいずれも初出は20年前のものですが、10年後に文庫化されたタイミングで当時の文章に対する「追記」がなされており、まずはそれらが一緒に読めるお得な本です。内容はぱっとみ時事ネタが多く「今さら読んでもネット社会黎明期の懐古趣味的読書にしかならない」...かと思いきや、そこにはその問題や議論の本質―「要するに」それがどういうことなのかが書かれているので、さらに10年経った今読んでもまだ楽しめます。例えばプライバシーの議論は今読めば「スノーデン」を踏まえてあらためて考えることができますし、電子マネーの論考についても「なるほどこの記述はビットコインのことかな」といった具合です。