山中 伸枝 著
毎月毎月、会社員の給与からいった何がそんなに天引きされているのか?
見慣れている給与明細、その内訳について考えたことありますか?同じ給与でも隣の同期とどうして手取りの額が違うのか、不思議に思ったことはありませんか?
本書では「毎月何が天引きされているのか?」「そもそも天引きされる基準額は何なのか?」といった事柄に注目し、「給与明細」から見えてくる税金と社会保険の大原則ついて説明しています。年収が頭打ちの中、自己防衛と将来設計のためにも、一度じっくり給与明細を眺めてみましょう。
◆ 著者メッセージ ◆
本書は特に若い方に読んでいただきたい1冊です。給与明細は、単なる会社からもらうお金の明細書ではありません。あなたがどう社会とかかわっているのか、貢献しているのかが分かるとても大切なものです。残念なことに、世の中には知らないというだけで損をしてしまうことがたくさんあります。でもこれからの人生において、知らなかったというだけで回り道をしたり、思い通りの結果が得られなかったりしたらもったいないですよね。そうならないためにも、まずは国の仕組みを知ること!それには給与明細をよく理解することが一番の近道なのです!
(山中伸枝)
第1章 会社員の給与明細の大原則
1-1 図解!給与明細の見方!!
給与明細は信用力を示す大切な書類
給与明細は三部構成
源泉徴収票は会社員の決算書
コラム あなたの給与、本当に計算合っている?
1-2 支給項目を知ろう!課税・非課税のウソ・ホント
原則、会社員の給与はすべて課税対象
月10万円までの交通費は課税対象にならない
会社員の諸手当は減少傾向に
コラム 部長が出張好きなわけ
1-3 控除項目を知ろう!誰のために天引きされている?
会社員は国の財政を支える大きな担い手
給与天引きで負担が大きいのは社会保険料
任意項目は自分自身のための天引き項目
コラム 念のため給与明細は保管しておこう!
第2章 会社員の税金の大原則
2-1 給与から天引きされている税金は所得税と住民税
天引きされる税金 その(1)―所得税は応能負担が原則
天引きされる税金 その(2)―住民税は所得割と均等割の合計
所得税も住民税も年収ではなく所得に対してかかる
コラム 苦労がすなわち節税なり?
2-2 会社と税務署は直結!会社員の所得税の流れ
月々の所得税の天引き額、実は概算
会社員の所得税年間スケジュール―年内に支払いは完結
コラム 会社員よ、誇り高きKNOW税者となれ!
2-3 忘れた頃にやってくる!住民税は後払い
住民税のスケジュール―翌年の6月から支払い開始
コラム 入社2年目が新入社員より貧乏なわけ
検証!都市伝説―住民税の安い地域・高い地域はあるの?
2-4 年末調整は会社員の決算処理―Part 1
年末調整の役割―年間の所得を確定し、所得税の納税額を確定
同じ天引き項目でも、税金と社会保険料では基準が異なる
2-5 年末調整は会社員の決算処理―Part 2
年末調整に必要な書類(1)―「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」
控除対象者となるには、年収の上限が決まっているものがある
除対象者の年齢は、その年の12月31日時点で考える
コラム 年末調整で家族の生年月日が必要なわけ
2-6 年末調整は会社員の決算処理―Part 3
年末調整に必要な書類の書き方(2)―給与所得者の保険料控除申告書
所得控除の対象となるのは、生命保険料と地震保険料
生命保険料控除、地震保険料控除ともに住民税では控除が小さい
コラム 無駄にしていない?節税のチャンス
コラム 地震保険っていったいなに?
2-7 年末調整は会社員の決算処理―Part 4
年収によって異なる配偶者の控除枠
配偶者にパート勤務以外の収入がある場合
コラム 会社員の配偶者は働かない方がお得?
2-8 年末調整は会社員の決算処理―Part 5
家族の社会保険料を支払った場合も控除対象になる
コラム 時には過保護も親孝行?
2-9 源泉徴収票を読み解く―Part 1
源泉徴収票の成り立ち―年収と所得が一目でわかる!
収入から必要経費を差し引いた「所得」額に税金がかかる
給与所得控除はすべての会社員に認められる経費
人的控除は家庭の事情を考慮
コラム パート勤めなのに年収103万円以下で住民税がかかるワケ
2-10 源泉徴収票を読み解く―Part 2
所得控除後の金額に対して、所得税が課税される
所得税の最低税率は5%、最高税率は40%
コラム やっぱりうれしい還付金
コラム 我が家も大変!増税の影
2-11 給与明細から減算徴収票までの流れ
コラム 退職金は税金がお得
第3章 会社員の健康保険の大原則
3-1 会社員の健康保険料、実は会社も負担している
従業員が5人以上なら健康保険に強制加入
健康保険組合と全国健康保険協会(協会けんぽ)
3-2 健康保険料は4月・5月・6月の給与で決まる
健康保険料の算出基準は4月・5月・6月の給与
健康保険料には上限がある
コラム 同期のアイツよりオレの保険料が高いわけ
3-3 健康保険の扶養家族の年収上限は130万円
税務上のものとは異なる健康保険の扶養条件
扶養家族増減届のタイミング
コラム 独身者は損?健康保険の不思議
3-4 医療費の自己負担は3割
病気やけがをしたときの自己負担額は総医療費の3割
自己負担額の軽減措置―高額療養費制度
自由診療は全額自己負担
コラム 子育て天国?こどもの医療費免除
コラム 海外旅行中の治療費の取扱い
3-5 病気やけがで収入が減ったときも安心―傷病手当金
会社員本人(被保険者)のみに支給される傷病手当金
標準報酬日額の2/3が最長1年6ヶ月間支給される
コラム 知っておきたい健保の給付金
3-6 退職時の健康保険、選択肢は3つ
健康保険:退職後の選択 その(1)―家族の扶養家族になる
健康保険:退職後の選択 その(2)―国民健康保険に加入する
健康保険:退職後の選択 その(3)―これまでの会社の健康保険を任意継続する
コラム 任意継続の損得勘定
3-7 40歳からは介護保険に加入
40歳になると、介護保険料負担で保険料がアップする
3-8 介護保険の概要
介護サービスを受けられるかどうかは年齢によって異なる
3-9 会社帰りの事故で健康保険証を出してはいけない
会社が全額負担、労災保険
業務上のけがや病気は「業務災害」、通勤中にけがをしたら「通勤災害」
コラム 帰宅途中でのちょっと一杯でけがしたら労災?
コラム 健康保険を補完する民間保険
第4章 会社員の年金の大原則
4-1 会社員の年金は2階建て
日本の公的年金制度は2階建て
会社員は2つの年金制度に加入
4-2 年金保険料は4月・5月・6月の給与で決まる
厚生年金保険料の算出方法は健康保険と同じ
負担する厚生年金保険料には上限がある
第3号被保険者は特権階級
コラム ボーナスは分けてもらうべきか?まとめてもらうべきか?
コラム 厚生年金の怪~保険料が逆転する
4-3 年金の大事な役割 その(1)―老齢年金を受け取るための条件
会社員が受け取る老齢年金は2種類、受給開始年齢は2段構え
国民年金の加入期間が25年以上なければ、老齢年金は受け取れない!
コラム 離婚したら年金は半分?
4-4 年金の大事な役割 その(2)―受け取る老齢年金の額
受け取る老齢基礎年金の額は加入履歴と負担した保険料で決まる
受け取る老齢厚生年金の額は単純には計算できない
コラム 長生きが断然お得です!
4-5 年金の大事な役割 その(3)―障害年金
もしも・・・の時の本人にとって大切な保障、障害年金
加入義務期間の3分の2以上の保険料を納めてなければならない
4-6 年金の大事な役割 その(4)―遺族年金
もしも夫が・・・の時の妻と子どもに大切な保障、遺族年金
勤続25年未満での独立はここに注意!!
万が一を補完する生命保険
コラム シングルファザーはつらいよ
4-7 定年後の年金
60歳以降も会社員の場合、年金が調整されることも
失業給付を受給中は老齢厚生年金が支給停止となる
コラム 会社を辞めて海外留学・・・その時年金は?
第5章 会社員の雇用保険の大原則
5-1 会社員の働く環境を守る雇用保険
雇用保険は強制保険
正社員でなくても雇用保険の被保険者になれる
雇用保険料の算出基準は賃金の総額
コラム 今どきハローワーク事情
5-2 辞めてもすぐには受け取れない失業手当
失業手当を受け取るには2年間に1年以上の被保険者期間が必要
失業手当の受給期間は勤続年数と辞めた理由による
失業手当の受給金額は賃金と年齢によって変わる
コラム 失業手当受給のためには失業しなければならない
5-3 自分のために使う雇用保険
在職者・離職者の利用可能―教育訓練給付制度
あれもこれも給付対象!?
5-4 家族のために使う雇用保険
介護休業給付には「家族の介護」が条件
介護休業中でも社会保険料は負担する
5-5 出産・育児を支える雇用保険
育児休業中に受けとることができる育児休業基本給付
育児休業中の保険料免除と養育期間中の特例
コラム 出産・育児で会社員は一体いくらもらえる?
第6章 会社員の確定申告の大原則
6-1 確定申告とは
確定申告で税金の修正をする
会社員が確定申告するときは?
コラム 確定申告・・・こんな時はどうするの?
6-2 医療費がかさんだり、災害に遭ったりしたら確定申告!
医療費控除の仕組み
大きな災害に遭っても税金が戻る!
知っておきたい火災保険の知識
6-3 マイホームを購入、買い換えた時にも確定申告!
いつまで?住宅ローン控除の概要
マイホームの買い替えで得た譲渡所得には特別ルール
マイホームの売買で損失が出た場合は損益通算できる
コラム 所得控除 VS 税額控除 どっちがお得?
6-4 運用での確定申告
特定口座なら、原則、確定申告の必要なし
コラム 可処分所得を増やせ!
損失がある場合は特定口座でも確定申告を!
第7章 給与明細ではじめる!会社員の将来設計の大原則
7-1 会社員の強い見方、財形貯蓄制度
三大資金づくりに最適!財形貯蓄制度
財形貯蓄制度は「一般」「住宅」「年金」の3種類
財形貯蓄―やった人 vs やらなかった人
コラム 財形貯蓄制度、会社を辞めたらどうなるの?
7-2 財形貯蓄の120%活用法(1)―一般財形で教育資金作り
用途の広い一般財形
一般財形は教育資金作りにも利用できる
会社員の落とし穴?隠れ貧乏にご用心!!
7-3 財形貯蓄の120%活用法(2)―住宅財形で頭金作り
住宅財形・年金財形の最大の特典―税金免除
住宅資金作りに特化した住宅財形
コラム 幸せなマイホームは頭金作りから
7-4 財形貯蓄の120%活用法(3)―年金財形で老後資金作り
会社員に必要な老後年金は3,000万円
老後資金作りに特化した年金財形
7-5 あるとうれしい!企業年金
企業年金の代表選手―厚生年金基金
知らない人も多い?税制適格年金制度
コラム 一時払いがいい?それとも分割がいい?企業年金
7-6 年金は自分で作る!確定拠出年金
拠出は会社、運用は自分で!―確定拠出年金
確定拠出年金の魅力とは?
コラム 確定拠出年金の運用先が定期預金・・・それで本当にいいの?
7-7 給与明細から自分の未来を創造しよう!
ライフプランに応じて変わっていった、かつての給与
可処分所得は減少傾向~お金の入り口を増やせ!
知らないでは済まされない、社会人の常識
内容についてのお問い合わせは、正誤表、追加情報をご確認後に、お送りいただくようお願いいたします。
正誤表、追加情報に掲載されていない書籍内容へのお問い合わせや
その他書籍に関するお問い合わせは、書籍のお問い合わせフォームからお送りください。
本書の書影(表紙画像)をご利用になりたい場合は書影許諾申請フォームから申請をお願いいたします。
書影(表紙画像)以外のご利用については、こちらからお問い合わせください。
刷数は奥付(書籍の最終ページ)に記載されています。
書籍の種類:
書籍の刷数:
本書に誤りまたは不十分な記述がありました。下記のとおり訂正し、お詫び申し上げます。
対象の書籍は正誤表がありません。
発生刷 | ページ数 | 書籍改訂刷 | 電子書籍訂正 | 内容 | 登録日 | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1刷 | 031 【Case Study】の住民税の計算 |
未 | 未 |
|
2009.07.09 | ||||||
1刷 | 103 2つ目のコラム、下から4行目 |
未 | 未 |
|
2009.03.05 | ||||||
1刷 | 180 下から6~5行目 |
未 | 未 |
|
2009.07.09 | ||||||
1刷 | iii 上から10行目 |
2刷 | 未 |
|
2009.02.19 |
更紗蝦 さん
2021-11-06
【「給与収入を得る」それ自体で、社会人としての義務を立派に果たしていることになります。当然、社会人の義務とは、税金や社会保険料を納めるだけではなく、社会の仕組みを理解し、時には疑問を持ち、よりよい制度に作り変える努力をすることも含まれます。】(184p) ←終盤にさりげなく書かれていますが、「給与明細をしっかり見る」という行為が持つ“政治的意味”を、端的に表しています。社会制度をよりよいものに作り変えるのは政治家の仕事であり、政治家を政治家たらしめるのは選挙であるということを、肝に命じておくべきでしょう。
西嶋 さん
2016-02-14
社会保険の計算方法について書かれていて、参考になった。さわり程度なので、ちゃんと計算しようとするとこれだけでは不足なのかもしれないが。
けっこう さん
2021-02-24
図表が多くわかりやすい。出版年は2009年と古くなっていますが、新社会人に限らず、税金、社会保険がよくわかっていない人のための入門書なら、まずこの本です。