1月19日に刊行される『本当に役立つ「終活」50問50答』は、単なる実用書にとどまらず、「ああ、だから終活が必要なんだ」と心の底から納得できる「深イイ話」が満載です。この本を企画したきっかけを説明したいと思います。
「こんなユニークなお墓が登場しました」
「棺に入る体験ができます」
「遺骨を海に撒く人が増えています」
雑誌やテレビの「終活特集」をみるたびに、「もの珍しいことを表面的に取り上げているだけだなあ。これをみて終活をしようっていう人はいないんじゃないか?」と、私はひとり毒づいていました。
そうは言っても、盛り上がっている分野で何か本が企画できないかと考えるのは編集者の習性です。まずは、どんな終活本が書店に並んでいるのかを調べました。エンディングノートの書き方を指南する本、葬式のしきたりを解説する本、終活全体を網羅して解説する本が並んでいるのは想定通りでした。
ちょっと面白い本も発見しました。私のようなへそ曲がりは多いようで、『終活なんておやめなさい』(ひろさちや著・青春出版社)という本がとても売れていました。人の死に関わることなのに、どこか軽々しく扱う風潮に対して拒否感を抱く人が多いのかもしれません。
新しい切り口の終活本を作りたいとモヤモヤしていたとき、ある終活セミナーで面白いお話を聞く機会がありました。その中身は以下の内容を基本的なことからわかりやすく解説するというものでした。
「そもそも、どうして終活が必要なのか」
「お葬式やお墓のことを自分一人で決めてしまっていいのか」
「大切なのは、終活を通して家族との絆を深めること」
終活セミナーというと、終活をすることが前提となっており、葬式やお墓の値段、葬式のしきたりといったことばかりを説明するものだという先入観を持っていた私にとって、目からウロコの内容でした。
また、そもそも終活というのはとても広い概念であり、「終活だからこうしなくてはいけない」「お勉強のように取り組まなくてはいけない」ということはなく、あくまでも自分と家族の関係性を振り返る手段の一つに過ぎないのだなとも気づかされました。
このセミナーの講師が、本書の著者の尾上正幸さんでした。東京葬祭という葬儀会社で取締役をしている方で、セミナー後にお話を伺うと、昨今の終活ブーム以前からエンディングノートやお葬式について情報発信をしていることや、葬儀を執り行った後も遺族の方と交流を続けるなど、とてもユニークな活動をしていることがわかりました。
だから、心に染みる含蓄のある話ができるのだなと実感し、私が感銘を受けた箇所を原稿にしましょうと依頼したのです。
本書が対象としている読者は中高年の方ですが、30〜40代の人が両親にプレゼントするのにも向いています。実際、エンディングノートを購入するのは女性が多く、プレゼント用にも使われることが多いそうです。「縁起でもない」と考えず、両親とコミュニケーションをとるきっかけにしてもらえればと思います。
こん