先日、4歳の娘に「お父さんは本を作る仕事をしてるの?」と聞かれました。恐らくヨメに聞いたのでしょう。「そうだよ」と答えると、「すごい!本を書いてるの?」と娘。「いや、自分で書いてるわけじゃなくて……」と言いよどむ僕。
“……じゃあ、お前は何をしてんだよ”的な表情を浮かべる娘に、あれこれ説明を試みたのですが、結局最後まで娘を納得させることはできませんでした。「編集」という仕事を4歳児に説明するのって、案外難しいんですね(いろんな人の板挟みになる仕事だよ♪と言いたかったが、少し悲しいので止めた)。
でも、後になって思ったのです。「お父さんはね、一緒に本を作るお友だちを集める仕事をしてるんだ」と言えばよかった、と。
編集という仕事において、もっとも大切なものは「人脈」だと言われます。1冊の本を作るには、著者、デザイナー、DTP、イラストレーターなど、さまざまな方の力が必要。「自分が作りたい本」を実現するための人脈(お友だち)をいかに作るか、それが編集者のもっとも大事な仕事なのです! ここで力説しても遅いのですが。
実は、今回紹介する『SwiftではじめるUI設計&プログラミング』も、そんな人脈から生まれたものでした。
2014年に、Appleから新しい開発言語「Swift」が発表されました。さっそく僕も企画を考えたのですが、こういう「新しいテーマ」って、著者探しが意外と難しいんですね。「書ける人」が限られてますから、出版社間で「著者争奪戦」が起こりがちです。
でも今回に限っては、著者探しに苦労せずに済みました。なぜなら、意中の著者から、「Swiftの本を書きたい」と、逆にご連絡をいただけたからです。ちょうど企画を考えているときにメールをもらったので、あまりのタイミングのよさに、運命の赤い糸か!と思いました。
ちなみに赤い糸の著者ですが、Mac系雑誌で幅広く活躍し、iOSアプリ開発系の本も多数上梓しておられる「柴田文彦さん」という方です。以前、iOSアプリ開発の本を書いてもらったことがあるのですが、そのときも本当にわかりやすく、素晴らしい原稿を仕上げてくださいました。
今回の書籍でも、熟練ライターの腕は存分に発揮されており、iOSアプリのUI設計や実際のプログラミング、UI関連のTIPSについて、サンプルを交えつつ丁寧に解説してくれています。Swiftについて学びたい方、とりわけUIに優れたiOSアプリを作ってみたい方に、自信を持ってお勧めできる書籍に仕上がりました。
著者とお付き合いしていると、今回のように「こういう本を書きたい」とご提案いただけることがあります。それは、「一緒に本を作ろう」というお誘いであり、ある意味信頼の証ですから、編集者にとってすごく嬉しいことです。
「友だちを大切に」とは親によく聞かされた台詞ですが、これって社会人になっても同じなんですね。僕も娘にあらためて教えたいと思います。「娘よ、友だちは大切にしろよ」と。
いしはら