ネットショップだけじゃないAmazon
Amazonと聞いてみなさんは何をイメージしますか? 送料無料のWebの本屋さん? あるいは、巨大な倉庫を持ち、家電から食品まで幅広く販売している総合ネットショップでしょうか?
しかし、Amazonが持っている顔は、ネットショップだけではありません。実は、そうしたネットショッピング用に開発した自社のシステムを、開発者向けにクラウドサービスとしてリリースしています。 それが「Amazon Web Services(以下AWS)」です。
低コストで高機能なサービスを利用できるAWS
AWSには、仮想サーバー、クラウドストレージ、データベース、開発用ツール、セキュリティツール、分析ツール、モバイルサービスなどなど、さまざまなサービスが用意されています。
ここではすべてを説明しきれませんが、代表的な特長として、下記のような点が挙げられます。
①低価格で利用できる
AWSの場合、例えば1年間無料で利用できるサービスが多く用意されています。また、1年を過ぎても継続的に格安で利用できるサービスもあります。基本的に使った分だけ料金を支払う形なので、自社のサービスにあった形で賢く利用すれば、最小のコストでサーバ運用が可能です。
②あらかじめ整備された環境を簡単に利用できる
AWSにはAWS Marketplaceというサービスがあり、500種類を超えるオープンソースや商用のアプリケーションが公開されています。例えばWordPressを使いたい場合、AWSのAmazonマシンイメージ(AMI)という機能を利用すれば、サーバやアプリケーションの初期設定をすることなく、あらかじめ整備されたWordPress環境を30分足らずで手に入れられます。
③セキュアな環境で運用できる
Amazonは世界展開する企業なので、サーバのデータを保管するデータセンターを世界中に展開しています。どこかの地域でサーバが落ちたとしても、ほかの地域のサーバがその代わりに動作をするという仕組みが構築されており、サーバダウンに強いクラウドサービスと言えます。また、長年ショップサイトの運営で培ってきたノウハウが詰め込まれているだけあって、セキュリティ面もAWSに一日の長があるようです。
このように、コストを抑えつつ、様々な機能が利用できるのがAWSの大きな特長です。
『Amazon Web Servicesクラウドサーバ構築ガイド』
このAWSの解説書として、『Amazon Web Servicesクラウドサーバ構築ガイド』が2015年11月12日に刊行されます。著者の中村義和さんは、もう数十年、Webサーバやシステム構築にたずさわっている方で、CMSまで含めた技術的なコンサルティングも行っています(「3度の飯よりコードが好き」という技術屋さんで、下町のWebコンサルタントというフレーズが似合う方です)。
中村さんは仕事柄、多くの中小企業のサーバ管理やシステム構築を行っているそうですが、
「安価なレンタルサーバはレスポンスが遅い。コストを抑えたままで速くしてほしい」
「最小コストでコミュニティサイトを運営したい」
など、コスト面を優先するリクエストが多く、そうしたお客さんの要望に応えたいと考えていたとき、AWSに出会ったそうです。
新宿の飲み屋で書籍企画の打合せをしたときも、一番多かったのは「コスト」の話でした。酒が進むうちに、
「こんな破格のサービスを使わない手はないよ、編集者さん」
「御社で使ってないの? なんで?」
など、いろいろ突っ込まれたりもしましたが(汗)、「コストという側面を意識した書籍企画でいこう!」と決まったことを今でも覚えています。
AWSに興味のあるすべてのサーバ開発者、Slerの方は必見!
本書は多くの方が気にしている「コスト」にフォーカスしつつ、AWSの導入から実装、運用まで触れた内容となっています。初めてAWSに触る方でも、迷わないよう、画面を追いながら丁寧に解説しています。
「まだまだうちには早いかな」と考えている中小企業のシステム&サーバ管理者は、まずは一度、本書を元に導入してみてください。また、Slerの方も企業へのサーバー構築プランの1つとして検討してみてください。
AWSを使って短時間で作成できるさまざまなサービスやシステムのすごさに、驚嘆すること間違いなしです!
みやこし