「障害者」ってだれのこと?|翔泳社の本

「障害者」ってだれのこと?

2018/01/10 09:00

 国は障害を持つ人のために多くのサービスを用意していますが、無尽蔵に「誰でもどうぞ~」というわけにはいきません。そこで、「誰がこのサービスを受けることができるか」という定義をはっきりさせる必要があります。連載第2回は、この障害者の定義について解説します(※以下は『これならわかる<スッキリ図解>障害者総合支援法 第2版』から本文を抜粋し、紹介しています)。

「障害」の範囲は広がり続けている!

 障害者といわれて皆さんが想像するのは、身体障害者と知的障害者が多いのではないでしょうか。これに、精神障害者を加えて「三障害」と呼ばれることが多くあります。

 しかし、1980年代頃から認知され始めた自閉症や注意欠陥性多動性障害などの発達障害、また脳に損傷を受けたことによる高次脳機能障害など、障害の範囲はどんどん広くなっています。身体障害者についても、その範囲は拡大を続けており、近年では透析が必要な腎臓疾患や、AIDSなどの免疫機能障害なども身体障害として認められるようになりました。

障害者の定義は?
障害者の定義は?
知的障害の定義

難病も障害に

 障害者に対する制度は様々ありますが、どの制度もそれぞれ即した「障害者」の定義に当てはまらなければ、利用することはできません。実際に、以前では、日常生活に大きな課題を抱える病気を持っていても「障害者」とは認められず支援を受けることができない人たちが大勢いました。

 そのようななか、平成25年の改正によって障害の定義が広がり、難病と関節リウマチの患者に対して、障害福祉サービスが提供できるようになりました。しかし、この時は新たな難病対策の結論が得られていないため、対象となる疾患は130疾患に限定されていました。その後、平成26年に対象疾患の要件が取りまとめられ、対象疾患の拡大が図られました。

 総合支援法でいう「難病」とは、難病法(難病の患者に対する医療等に関 する法律)が示す基準のうちの2点「発病の機構が明らかでない」「患者数が人 口の0・1%程度に達しない」を要件としないこととしており(つまり、難病法より対象が広い)、平成29年4月より358疾患が対象となっています。今後も研究が進むにつれ、対象疾患が増える可能性があります。

難病法に基づく指定難病の要件と障害者総合支援法における取り扱い
難病法に基づく指定難病の要件と障害者総合支援法における取り扱い
これならわかる〈スッキリ図解〉障害者総合支援法 第2版
これならわかる〈スッキリ図解〉障害者総合支援法 第2版

著者:鈴木裕介、遠山真世 編集:二本柳覚
発売日:2018年1月31日(水)
価格:1,944円(税込)

本書について

本書は専門職として制度について知っておくべき人、サービス事業者、相談支援専門員、医療職、自治体福祉関係者のほかにも、利用者本人や家族、障害者を支援する企業の担当者、申請をサポートする士業、福祉を勉強する学生さんなどにとっても、制度の概要や利用方法についてスッキリわかる一冊となっています。