改正の3つの柱
平成24年に障害者総合支援法が成立したとき、3年後に見直しを図ることが定められました。このため、社会保障審議会障害者部会は、平成27年4月から見直しについての検討を始め、同年12月に報告書を提出しました。このとき、どのような点で見直しがされたかというと、大きく分けて次の3つの柱で整理がされました。
1つめが「新たな地域生活の展開」、2つめが「障害者のニーズに対するよりきめ細かな対応」、最後が「質の高いサービスを持続的に利用できる環境整備」です。
政府はこの報告書等を受け、平成28年3月1日、障害者総合支援法等改正案を閣議決定し、平成28年5月25日に成立しました。
改正障害者総合支援法では、「障害者の望む地域生活の支援」「障害児支援のニーズの多様化へのきめ細かな対応」「サービスの質の確保・向上にむけた環境整備」の3つを大きな枠として改正がなされることになりました。
具合的には、重度訪問介護の訪問先の拡大、自立生活援助、就労定着支援の創設、高齢障害者の介護保険サービスの利用者負担軽減、障害児支援の拡充などが挙げられます。
積み残しがないわけではない
とはいえ、障害者部会が提出した報告書の内容がすべて今回の法改正に反映されたわけではありません。
例えば、報告書では、移動支援については通学や通勤などに関する移動支援の検討を挙げていますが、本改正では具体的な支援体制は盛り込まれていません。厚生労働省は議論のなかで、個別給付での対応を検討すると述べており、次回改正に期待されています。
その他の盛り込まれなかった内容を含め、さらに使いやすい制度になるように、当事者を含めた議論が必要といえるでしょう。