働いてはみたものの……
障害者総合支援法では、就労に向けた支援サービスが設定されており、利用者それぞれの状況によって施設内での作業を中心にしたものや、就職支援を中心にしたものがあります。これまで多くの人が就労支援を受け、一般企業などに就職していきました。
しかし、その一方で問題視されているのが、いわゆる「出戻り」です。「一度就職したものの、企業の業務についていけない」「日常生活のリズムが狂ってしまって仕事に行けなくなってしまった」など、一度就労支援を受けて外に出たものの、また施設に戻ってきてしまうのです。
もちろん就労移行支援事業所なども就職してからの生活の変化等も加味して事業所内での支援を行っていますし、退所後の支援も行っています。しかし、少ない人員で施設を動かしているなか、今いる施設の利用者の支援を行いながら増え続ける退所者への支援を、一定期間だけならまだしも、ずっとし続けるということは現実的に困難です。
主に「生活面」をフォロー
就労に必要な技能自体は、就労移行支援などで訓練してきているわけですし、就職した業種によって必要な能力は異なります。新たに必要となる技術は、企業ごとでのOJT(職場内教育)などによって訓練していただければいいのですが、生活習慣まではそういうわけにはいきません。
そこで、今回の就労定着支援は、就労に必要な技能についての支援ではなく、主に就労に伴って出てきた生活面の課題をフォローするために創設されました。具体的には「慣れない仕事で疲れてしまって遅刻や欠勤が増えた」「薬を飲み忘れるようになってしまった」「多くのお金が手元に来るようになり、計画的にお金が使えなくなってしまった」など、働き続けるための生活習慣を働きながら身につけてもらう支援といえます。