ファン・フォロワーに喜ばれる・共感されるコンテンツは2つに分けられる
ファン・フォロワーとの関係を深める目的で最も使われているのが、「ファン・フォロワーに喜ばれる・共感されるコンテンツを投稿する」方法です。
ファン・フォロワーに喜ばれる・共感されるコンテンツは、大きく次の2種類に分けることができます。
ひとつは、皆さんの企業・団体が伝えたい、発信したい「マーケティング系コンテンツ」です。たとえば、次のような例が挙げられます。
- 会社情報(社史、従業員/店舗紹介、社内制度など)
- 商品情報(新商品、特徴、優位性など)
- キャンペーン、セール、イベント情報など
皆さんの企業・団体のWebサイトの「新着情報」に掲載するような情報も、「マーケティング系コンテンツ」といえるでしょう。たとえばSNS運用支援ツール「コムニコ マーケティングスイート」の公式Twitterアカウントでは、新機能追加や機能リニューアルのお知らせを発信しています。
【ヘルプリニューアルのお知らせ】
— コムニコ マーケティングスイート (@cmsJP) September 3, 2019
本日、分析機能に関するヘルプをリニューアルいたしました。
より詳細に、よりわかりやすく内容を一新しております。
機能についてわからないことがありましたら、ぜひヘルプをご活用ください。https://t.co/nTbAjeVf0T
そしてもうひとつが、ファン・フォロワーが楽しめる「企画系コンテンツ」です。たとえば、以下は「エープリルフール」に「目に見えない料理のレシピ」を紹介した事例です。ファン・フォロワーからは「面白い」「作ってみました」など好意的な反応が寄せられています。
企画系コンテンツには、次に挙げるようなパターンが存在します。
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時節投稿
年末年始・お花見・夏休み・紅葉・クリスマスなど、季節感あふれるコンテンツは、ファン・フォロワーの興味・関心を集める傾向があります。
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記念日投稿
1年365日、毎日が何かしらの記念日です。「〇〇の日」や「〇〇記念日」をテーマにしたコンテンツは、タイムリーで関心を集めます。記念日は有名なものに限りません。新しい記念日や知名度の低い記念日であっても、「知らなかった!」「新しい!」というポジティブな感情・共感を得る可能性があるでしょう。
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あいさつ投稿
「おはようございます」「よい週末を」「あけましておめでとうございます」などのあいさつを含むコンテンツは、ファン・フォロワーに親しみを感じさせ、心の距離を縮めることができます。
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キャラクター投稿
自社のキャラクターによるSNS投稿というスタイルをとったり、かわいい動物(例:子猫、子犬、パンダ)を取り扱ったりするコンテンツは、ファン・フォロワーを楽しませることができます。また、若年層や女性など、新たなファン・フォロワーを獲得するフックにもなり得ます。
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トレンドワード
Twitterで話題に挙がっている言葉やハッシュタグ、世間で話題になっているポジティブなニュースなどをテーマに使ったコンテンツは、多くのユーザーによる「検索」でもヒットして発見される可能性があります。もちろんタイムリーなトレンドワードはファン・フォロワーの関心を集め楽しませることができるでしょう。
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トリビア/豆知識
「従業員しか知らない○○の意外な使い方」や、「ロゴの由来」といった雑学知識など、ファン・フォロワーにとって有意義な情報や、「他の人にも教えたい!」と思わせるコンテンツは、喜ばれる上に、シェア・リツイートもされやすい傾向があります。
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クイズ/アンケート
選択式の問い掛けやフリーコメントを募る問い掛けなどは、ファン・フォロワーからの反応を引き出す可能性があります。中でも、「今日のお昼は何を食べましたか」や「今あなたが飲みたいのはA(ビール)・B(コーラ)のどっち?」のように、考えることなく直感的に答えられる内容や、スマホからでも簡単に回答できる内容であればより多くの回答を得られるでしょう。
「企画系コンテンツ」を投稿する際には、前述のようなテーマ(ネタ)だけでコンテンツを構成するのではなく、必ず「企業名」「ブランド」「商品」「サービス」などとからめてコンテンツを完成させることが大切です。面白おかしい内容だけのコンテンツでは、たとえバズったとしても一過性のものに終わったり、せっかく多くのユーザーの目に触れる機会を得たにもかかわらず、企業名や商品名、サービス名がまったく印象に残らなかったりすることがあります。
また、バズを狙ったりトレンドを意識しすぎたりした結果、(エープリルフール以外に)虚偽の内容を含んでいる、公序良俗に反している、不謹慎なコンテンツになっている、といったことがないようにしましょう。こうした投稿は当然ながら炎上のリスクがありますし、最悪の場合には企業の社会的信用が失墜しかねません。
ファン・フォロワーに喜ばれる・共感されるために必要な要素
「マーケティング系コンテンツ」「企画系コンテンツ」のいずれでも、ファン・フォロワーに喜ばれる・共感されるには、次に挙げる要素が少なくとも1つは含まれている必要があります。できれば複数含まれていることが望ましいです。
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タイムリーである
- 投稿日に合わせたテーマ(記念日、季節ネタ)や、時間帯に合わせたあいさつなどが含まれている
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世の中やSNSで話題になっているテーマが含まれている
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参加型である
- ファン・フォロワーが気軽に回答したくなるようなクイズやアンケートなどの「問い掛け」が含まれている
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「間違い探し」「クロスワードパズル」「迷路」など、遊べる要素が含まれている
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親しみやすい
- キャラクターやかわいい動物の画像を使っている
- 「こんにちは」「よい週末を」など、ファン・フォロワーへのあいさつが含まれる
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キャラクターの口調や親しげな文体で書かれている
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共感できる
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「おいしそう」「かわいい」「かっこいい」「懐かしい」「すごい」「感動した」「驚いた」「知らなかった」などのポジティブな感情を呼び起こす内容が含まれている
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「おいしそう」「かわいい」「かっこいい」「懐かしい」「すごい」「感動した」「驚いた」「知らなかった」などのポジティブな感情を呼び起こす内容が含まれている
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役に立つ
- 周囲に教えたくなる内容(豆知識・意外な使い方/食べ方・コツなど)が含まれている
- 「やってみた」「比較」などの体験レポート的内容が含まれている
「マーケティング系コンテンツ」と「企画系コンテンツ」の割合は?
「SNSに投稿するのは、企画系コンテンツのような面白ネタだけでよいのでは?」という疑問を持つ方もいるかもしれませんが、結論からいえば「マーケティング系コンテンツ」も投稿したほうがよいでしょう。
もし、SNSでは面白おかしい情報しか発信されず、企業・団体の「最新情報」や「ニュース」を知るには都度ホームページやメールを確認しなくてはならないとしたら、最新情報を入手したくてファン・フォロワーになってくれたユーザーにとって、非常に不便かつ不親切な状況といえるのではないでしょうか。
では、「マーケティング系コンテンツ」と「企画系コンテンツ」のベストな割合はどのくらいでしょうか。この問いについて明確な正解はありません。次に挙げるような要素が影響を与えるため、文字通り「ケース・バイ・ケース」といえるでしょう。いろいろなパターンを試して、皆さんの企業にとっての「正解」を見つけていただければと思います。
- SNSの種類(例:Twitterなら企画系コンテンツが6~8割、Facebookならマーケティング系コンテンツが8割など)
- ターゲット層(例:若年層中心なら企画系コンテンツ多めなど)
- 目的/ゴール(例:ブランディング・ニュース発信が目的→マーケティング系コンテンツ中心、ファンとのコミュニケーションが目的→企画系コンテンツ中心など)
お勧めのコンテンツ(投稿案)作成手順
投稿案を作る作業は本来とても楽しいものですが、多忙な日々においては「SNSアカウントの運用に関する業務」はつい後回しにされがちで、気付けば何日も投稿することなく、最終的にはフェードアウト、というケースも少なくありません。
定期的に、良質のコンテンツ投稿を継続するためには、翌月や翌々月の投稿案をあらかじめ作っておき、さらに可能であれば投稿予約まで完了しておくのが理想です。以下から、コンテンツ作成の流れを説明します。
STEP1 コンテンツカレンダーを準備する
投稿アイデア~下書き~投稿案確定、投稿スケジュール管理まで、あらゆるフェーズにおけるSNS投稿コンテンツを管理するのにお勧めなのが「コンテンツカレンダー」です。「コンテンツカレンダー」は、「投稿カレンダー」、「原稿表」などと呼ばれることもあります。
コンテンツカレンダーのフォーマットは、ExcelやGoogleスプレッドシートを使って作るのが便利ですが、他のツールを使っても問題ありません。コンテンツカレンダーには、次のような項目を含めます。
- 投稿日
- 投稿時間(ペルソナがオンラインになる時間帯、SNSを見ているこ とが多い時間帯)
- ターゲット(どんな年代、性別、属性のファンに向けたものかなど)
- 投稿テーマ
- 投稿形式(1枚画像、複数枚画像、動画、投票機能、ストーリーズなど)
- 投稿原稿(ハッシュタグやURLなども含む)
- 投稿画像(または動画) 備考(担当者間で共有しておきたい事柄、自分のための備忘メモなど)
毎月コンテンツカレンダーを作って管理・活用することで、次のようなメリットが得られます。
- SNS運用担当者が複数いる場合、情報共有やクオリティチェックがしやすい
- あらかじめ投稿スケジュールをしっかり決めて、事前予約などを進めることができるので、(自転車操業ではなく)計画的なSNS投稿が可能になる
- 「必ずSNS投稿すべき日」(例:ニュースリリース配信日、創立記念日、新商品発売日、自社商品と相性がいい記念日など)を把握することで、投稿のし忘れを防ぐことができる
- 「SNS投稿を避けるべき日(炎上危険日)」(例:過去に大きな災害や事件、戦争などが発生した日。日本人の多くが悲しい記憶を呼び起こされる日。1/17・3/11・8/6・8/9・8/15など)を事前に把握しておくことで、うっかり投稿することによる炎上リスクを減らすことができる
ブレインストーミング/編集会議を行い、コンテンツカレンダーを埋めていく
投稿予定日の1~2カ月前から準備を始めていきましょう。
(1) 当該月の「必ずSNS投稿すべき日」「SNS投稿を避けるべき日」を記入する
(2) (1)以外でSNS投稿を行う日・テーマなどを決める
(3) (2)で決めたテーマをもとに、ライティングに必要な詳細情報を収集する・投稿用画像(動画)を準備する
(4)文字数/ハッシュタグ/そのアカウントのトーン&マナーなどにも気を付けながら、投稿案を作成する
SNS投稿を行う日・テーマなどを決めるときに、複数名での「編集会議」や「ブレインストーミング」を行うケースも多いです。効率よく話し合いを進めるためには、事前にコンテンツカレンダーを共有し、会議までにそれぞれがアイデアを考え持ち寄るようにしましょう。
「その月に予定されている国内外イベント」や「その月の記念日」などは、検索して効率よくネタを集めましょう。ネタ探しに役立つサイト/アプリをいくつか紹介しておきます。
(5) コンテンツのWチェックを行う(校正・校閲)
コンテンツが作成できたら、入念なWチェックで間違いをなくしトラブルを防ぎましょう。できれば、ライティングした人とは別のメンバー、可能なら年齢や性別などの属性が異なる人にチェックしてもらいましょう。
なお、Wチェックするコンテンツ案は紙にプリントアウトし、落ち着いた環境で行いましょう。まずは一文字一文字をチェック(校正)。次に「厳しい読者になったつもりで」内容をじっくりチェック(校閲)しましょう。以下に、簡易版チェックリストを載せましたので、参考にしてください(なお、Chapter 7の04ではさらに詳しく解説しています)。
(6) 投稿予約/投稿
ダブルチェック、(必要に合わせ)社内承認などが完了したら、確定した投稿案を用いて実際の投稿に移ります。投稿予約ができるSNSでは、投稿予約をしておくのがよいでしょう。
投稿予約の際もミスは許されません。「投稿に使う公式アカウントを間違えていないか」「投稿予約日時を間違えていないか」など、しっかり確認しながら予約作業を進め、さらに別のメンバーにWチェックしてもらいましょう。
次に挙げるようなSNS投稿予約ができる運用支援ツールを使って、業務の効率化を図るのもお勧めです。
投稿ネタに困ったときに見るリスト
ほぼ毎日のようにSNS投稿を行う場合などは、投稿ネタが尽きてしまうこともあるでしょう。そんなときには次のリストを使ってみてください。
自社Webサイト「新着情報」にヒントあり
「新商品情報」「商品・サービスの特徴、優位性」「キャンペーン情報」など、自社サイトなどでも当然掲載するような内容は、SNSでもタイムリーに案内しましょう。まだSNSで紹介していない情報はありませんか。
社内に眠る写真・テキスト・動画素材
創業から年数の経った会社であれば、その「歴史」そのものが貴重なネタになります。社史や昔の商品カタログ、ポスター、パッケージ、広告、当時の社内や工場の様子がわかる写真などはありませんか。
従業員もネタの宝庫
全国の支社/営業所の従業員に「ご当地ネタ」を提供してもらいましょう。休暇や出張に出掛ける従業員には、自社商品・パッケージ・キャラクター人形などを渡し、現地で写真を撮ってきてもらいましょう。
ファン・フォロワーの興味・関心をネタに
自社・商品・サービスについて、ファン・フォロワーが持っている「関心事」「疑問」「要望」などを調べて、それをネタにしましょう。営業担当者・コールセンター・店舗スタッフ・委託販売店スタッフなどにヒアリングして情報収集しましょう。
困ったときはオリジナル「○○の日」
ネタに使えそうな記念日がなければ、自社独自の記念日を作るのもひとつのやり方です。創立記念日はもちろん、ベストセラー商品やロングセラー商品の発売日を「誕生日」としてネタに使うのもよいでしょう。とにかくハッピーでポジティブな印象を与える記念日に、自社商品・サービスをからめた投稿案を考えてみましょう。
商品/サービスと関連ある時事ネタを探す
日頃からニュースやトレンドに対する情報感度を高めておき、「世の中の関心が高いグッドニュース」をいち早く見つけ、自社商品・サービスとからめた投稿案を考えてみましょう。
「社内の常識=(よい意味で)世間の非常識」を探す
従業員にとっては当たり前の情報が、意外によいネタになることがあります。社名/商品名/ロゴマークの由来、「会社創立日が〇年〇月〇日である理由」や「人気商品開発のきっかけ」「従業員は皆知っている○○の意外な使い方/食べ方/飲み方」などはありませんか。
面白いコンテンツを作るには、良質で大量の情報インプットが不可欠です。ぜひ、日頃から面白い情報・トレンドを積極的に吸収するようにしましょう。情報は広く、偏りなくインプットするのが大切です。以下に挙げた例のように、インターネットに限らず広い分野からの情報収集をぜひ心がけてみてください。
- インターネット上のニュースサイト、まとめサイト
- テレビ番組(情報番組、クイズ番組など)
- ファン・フォロワーが読みそうな雑誌や書籍、ベストセラー
- 「話題のもの(スポット、イベント、料理、グッズ、スポーツなど)を試してみる」好奇心の強さとフットワークの軽さ