「データ」という言葉を聞いて、どんなことを思い浮かべますか? 私が使っている「データ」という言葉は、ほとんど「顧客」のことを指しています。そして、データドリブン経営とは、顧客の姿を徹底的にデータで捉え、分析し、顧客によりよい提案を実現することです。「Consumer is Boss(顧客がボス)」という言葉が登場してから約20年。顧客≒データの時代となった今、顧客をボスとすることの実践は、この時代ならば顧客行動データに忠実になること、すなわち「DATA is BOSS」ではないでしょうか。本書を通じて「データドリブン経営」を1社でも多くの企業が実践し、大きな成果を実現するビジネスパーソンが世の中に1人でも増えることを願っています。
株式会社一休 代表取締役社長
2007年に東証一部へ上場後、伸び悩んでいた一休。2012年にデータドリブン経営へと舵を切った結果、売上10倍を実現。やったことは、たった一つ。事業の改善ポイントをデータ(≒顧客)に教えてもらい素直に改善を実行したのです。
本書では実際に一休で使っている主要な分析レポートをグラフとともに解説しています。根底にある考え方は“クリスタルクリア”です。顧客行動を見える化する独自のフレームワークとレポートを用いて事業成長を実現しています。
榊 淳
株式会社一休 代表取締役社長。慶應義塾大学大学院理工学研究科修了後、第一勧業銀行(現みずほ銀行)にて金融工学を駆使したトレーディング業務に従事。2001年に米国スタンフォード大学院のサイエンティフィック・コンピューティング学科修士課程を修了後、約10年間コンサルタントとして活躍。 2013年に 株式会社一休に入社し、2016年に代表取締役社長に就任。2023年からはLINEヤフー株式会社 執行役員 コマースカンパニー トラベル統括本部長も務める。ほかにも、「国際医療ボランティア団体」特定非営利活動法人ジャパンハート 理事、株式会社じげん 社外取締役を務める。
はじめに 「DATA is BOSS」の意味
※順不同
クラシコム 代表取締役社長
青木 耕平氏
本書は確かにデータを活用して事業を成長させるための具体的なノウハウに溢れている。しかしその奥から透けて見えるのは、都合が良くても、悪くても目の前にある真実から目を背けず、考えを尽くして事業と顧客に向き合ってきた榊さんの真摯さだ。どこまでも事実に基づいて、具体的に書かれた実用的な本書だが、熟読するほどに、テクニック同様その姿勢こそが成功の要諦である事を教えてくれる。とかくデータドリブンと聞くとデータからわかりやすい正解を取り出して、人に先んじるやり方が学べる本だと期待する向きも多いが、むしろデータによって明らかになった身も蓋もない真実に対して、どこまで真摯かつフェアに向き合えるかが勝負なんだなと、背筋が伸びる思いで読み終えた。
会社経営をしている社長である榊さんが、データに関する書籍を執筆したというのは、日本企業において非常に意義があることだと思います。特に経営者の方でデータドリブン経営と聞いて「対岸の火事」だと思っている方、自分の判断や経験が正しいと思っている方は推奨です。Columnにもあります、なぜ欧米には「語れるエンジニア」が多いのか、日本企業がグローバルで競争力を更に出していくヒントも書いてあります。経営者、リーダー、エンジニア、組織をブレークスルーしたいビジネスパーソンにとって視座と行動の変わる1冊です。
小林製薬 執行役員CDO
石戸 亮氏
埼玉大学経済経営系大学院 准教授
宇田川 元一氏
データドリブン経営とは、データを活用する経営ではない。データと対話する経営である。データの側から自分たちを見ようとし、そこから見えてくる事柄に応答しようと絶えず試みる経営のことだ。データは経営の質を高める上でも強力な対話相手になる。まさに、BOSSである。プロダクトの質的な向上はもちろんのこと、企業を変革する上での共通言語にもなりうるだろう。データと対話できない時は、何か経営上の問題があるときだ。戦略がなければデータと対話することができないからだ。データが語ることの意味を見出し、そこから価値を創造するための視点と方法がこの本には述べられている。
「経営者必読の、人口減少時代に勝つ経営書」。この本は、すでに摩耗している人口拡大時代のマス思考から脱却する経営と、次世代の経営者の役割を提示している。榊さんの経営は、平均化されたセグメントや合計化されたマスを狙わない。その圧倒的な財務結果は、個人一人ひとりの「個」客を突き詰めた集計結果でしかない。榊さんは、経営者として自ら朝から晩までデータを見て、データアナリストと協業して分析しつづける。毎週日曜日に分析レポートを書き、月曜の朝一番に全従業員に公開する。そんなことは出来ない、特殊だ、変だ、と思うのなら、この本をお勧めする。マス思考の成功体験はもう終わる。次の経営者が目指す姿は、ここにある。
Strategy Partners 代表取締役 兼
M-Force 共同創業者
『実践 顧客起点マーケティング』著者
西口 一希氏
ジャパン・クラウド・
コンサルティング
代表取締役社長
『THE MODEL』著者
福田 康隆氏
本書は規模や業種を問わず、あらゆる経営者に読んでもらいたい本です。この本で紹介されているのは気を衒ったストーリーやフレームワークではありません。「データドリブン」を切り口に、榊さんのビジネスにおける原理原則が詰め込まれています。世の中にはデータについて表面的な理解で終わっている経営者が多いのが現実です。データという事実を基に、いかに顧客を深く理解するのか。そのためのアプローチが余す所なく紹介されています。「うまくいっている会社の組織体制だけを単純に真似て、形から入るケースも多いようです。どの会社にもそのまま適用できるデータドリブンなど、存在しません。自分の会社にとって最適なデータドリブンのモデルを創造することを目指してほしい、という思いから、本書を執筆することになりました」という冒頭のメッセージは、私が『THE MODEL』を執筆した時の思いと重なりました。この本が一人でも多くの実務家に届き、日本のデータドリブン経営が前進することを願っています。
著者:榊 淳
発売日:2024/2/15
ISBN:978-4-7981-8047-2
定価:2,200円(本体2,000円+税10%)
仕様:A5・240ページ(予定)