松本 聰 著
本書は、業務システムのデータモデリング/データベース設計を基礎から解説した入門書です。「なぜモデリングをするのか」という根本的な疑問からモデルの記法と考え方、モデルの実装/管理方法までを解説し、本書1冊でモデリングについての一通りの知識が得られます。モデリングは注文-出荷/配送-請求/支払という一連の取引業務を例に行っているので、業務の流れやモデリングに必要なデータをその流れもつかみやすいでしょう。著者がこれまでの実務経験から得た知識もコラムで紹介しています。付録CD-ROMには本書で紹介しているサンプルモデルとモデリングツールを収録しましたので、手と頭でモデリングのコツを覚えられます。
本書は月刊DB Magazineの人気連載「業務モデルとデータモデルの考え方」を加筆/再編集し、書籍としてまとめたものです。
●付録CD-ROMについて
本書の付録CD-ROMには、下記のソフトウェア(試用版/体験版)およびサンプルファイルを収録しています。
Part 1 データモデルの基礎とその記法
Chapter 1 まずはモデルで表わしてみよう
なぜモデルを書くのか、なぜモデルで書くのか
笑えない話笑い話
業務(ビジネス)を理解する
理解しにくいビジネスプロセス
ビジネスプロセスをどう表わすか
インプット情報とアウトプット情報
Chapter 2 業務とデータの関係を考える
基本モデルの骨格
ビジネスモデルとデータモデルを作ってみよう
業務のモデルを作る
基本注文業務およびデータの作り方
データについて検討する
各エンティティの詳細を検討する
データモデルとプロセスモデルのマッピング
Chapter 3 データモデルの詳細化
注文明細を作る
「当事者」と「役割」を配置する
業務モデルで確認する
「データを合わせる」のプロセス
「取引契約」のプロセスとデータモデル(1)
「取引契約」のプロセスとデータモデル(2)
Chapter 4 属性とアクティビティの相互関係
値段交渉の始まり
スーパータイプ、サブタイプ、カテゴリ識別子
バリデーションルールの設定
納期の交渉
注文までの業務モデルを完成させる
経営、事業、業務を捉えるモデルとは
CRUD/IRUNを定義する
複雑なCRUD/IRUNをBPwinで解決する
矢印データの適用
Chapter 5 商品の出荷/配送の業務モデル
商品を配送する
「在庫」の課題
発送業務の明確化
荷物を作る
Chapter 6 商品の配送~入荷までの業務モデル
「配送する」業務
「商品を輸送する」業務の詳細
「商品を受け取る」業務の詳細
「出荷」部分のデータモデル
「輸送資源を確保し、輸送支持を出す」部分のデータモデル
「受け取る」部分のデータモデル
Chapter 7 支払/請求の業務モデル
取引業務の終了をどのように見るか
請求と支払
矢印を検討する
データモデルを検討する
カーディナリティ(多重度)の重要性
支払う部分のデータモデル
第2章のビジネスモデルの詳しい説明
Part 2 データモデルの実装/管理
Chapter 8 データ業務モデルの精査
業務の最初から精査する
データを合わせる部分の業務とデータモデルを精査する
ロケーションの役割の規定
ロケーションサブタイプのリレーションシップ設定
「注文する」部分の見直し
業務とデータ要素を検証する
削除は課題
エンティティの分類
ボトムアップ法かトップダウン法か
「当事者」「ロケーション」のデータモデル
Chapter 9 物理実装のための要点整理
実装に向けて属性とカラムの設計を行なう
物理モデルへの展開のポイント
スーパータイプ/サブタイプの統合/分割
導出属性、物理のみのデータの配置について
非正規形の危険性の認識
物理ドメインを検討する
論理設計と物理設計を明確に分ける
データベースとビジネスのパフォーマンス
Chapter 10 物理実装のためのビジネスルールの設定
データの名前付けを有効に活かす
論理、物理ドメインの設計
業務処理モデル(ワークフロー)の作成(IDEF3およびユースケース図)
論理のみエンティティの識別
物理モデルへの展開
論理モデルと物理モデルの設計の進め方
Chapter 11 データモデルと業務モデルの管理手法(1)
アプリケーションモデルとエンタープライズモデル
データ管理者の機能と役割
DBMSが管理するものは
ERPのデータベースはどうなっているか
レガシーシステムをどう活かすか
ニワトリとタマゴの話
Chapter 12 データモデルと業務モデルの管理手法(2)
モデリングと5W1H
システムを5W1Hで捉えるZachmanフレームワーク
データと機能をどう捉えるか
タイミング概念
最後にWhyを考える
Zachmanフレームワークのさまざまな見方
モデルを作り、蓄え、管理し、変更する
UMLをどう位置づけるか
まとめ
おわりに
付録
Appendix A モデルとSQLで考えるデータベース設計超入門
データベースの設計を考えるヒント
矢印は大事
属性とは
実際にデータベースを設計してみよう
論理モデルと物理モデル
トップダウン設計とボトムアップ設計
モデルングツールを使ってみよう
データモデルのすすめ
Appendix B 課題:クラシックCDのデータモデルを作ってみよう
基本要件
システム要件
要件の範囲外
ボトムアップ設計のための事例
解答モデル
付録CD-ROMについて
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牧神の午後 さん
2011-10-21
ビジネス・業務の流れからキッチリ解説してくれているのは、この手の本には珍しく、好感が持てる。UMLやデータモデルの限界も触れてくれているのは自分も感じていることを上手く言い表してくれていて、膝を打った。ただ、BPWinやERWinというツールの解説とこうした記述が一冊にまとまっているので、逆に著者の狙いがうまくつたわらないのでないか?と中途半端感が漂ってくるのが珠に瑕。