よりよいソフトウェアを、より効率的に開発するには、ソフトウェアエンジニアリングの知識が不可欠です。しかし、このソフトウェアエンジニアリングについて体系だてて学んだことのあるエンジニアは少ないのが現実です。その主な原因として、いわゆる「文系エンジニア」の増加や、企業が社員教育を徹底していないことなどが考えられますが、それ以前に、理科系の大学でさえ、ソフトウェアエンジニアリングを教えられる先生がほとんどいないため、授業を開設できないという深刻な問題を抱えています。
本書は、「産学協同実践的IT教育基盤強化事業」として経済産業省が2年連続(2005年、2006年)サポートしている、高知工科大学のソフトウェアエンジニアリングの授業を、実況中継の形式でまとめました。巻末には、システム提案書など、各種提出書類のサンプルを収録。学生やエンジニアのみならず、エンジニアの教育に携わる人にも役立つ仕上がりになっています。
プロローグ
コラム:TKメソッドについて
第1章 ソフトウェアとソフトウェアエンジニアリングとは
1.1 ソフトウェアの特徴
1.2 ソフトウェア技術者の仕事
1.3 ソフトウェアの重要性
コラム:保険会社におけるシステム技術者の役割
1.4 ソフトウェアエンジニアリングとは
1.5 ソフトウェアエンジニアリングの体系化
引用文献
第2章 ソフトウェア開発におけるプロセス
2.1 プロセスとは
プロセスの定義
ビジネスプロセス
プロセスとプロダクト
コラム:損害保険会社のシステムが止まると、日本の輸出入が止まる?
2.2 ソフトウェア開発におけるプロセス
ウォータフォールモデル
ウォータフォールモデルの問題点
ウォータフォールモデルの改良
アジャイル開発手法
プロセスとアウトソーシング
2.3 課題、仕様、設計
コラム:エンドユーザーから見た開発プロセス
コラム・モデルとモデリングについて
引用文献
第3章 システム提案書、開発計画書の作成方法
3.1 システム提案書の作成方法
システム提案書作成の目的
システム提案書の構成
システム導入の費用と効果
ハードウェアの費用
ソフトウェアの費用
3.2 開発計画書の作成方法
開発計画書の目的
開発計画書の構成
3.3 実際のシステムの事例紹介(POSシステム)
コンビニのPOSシステムの事例
POSシステムの仕組み
POSシステムで管理しているデータ
アスクルの配送システムの事例
POSシステムによるメリット
コンビニの新たな展開
3.4 実際のシステムの事例紹介(CRMシステム)
CRMシステムとは何か
ポイントカード
ワントゥワンビジネス
CRMシステムと個人情報の漏洩
コラム:システム開発における個人情報保護について
3.5 実際のシステムの事例紹介(CTIシステム)
CTIシステムとは何か
タクシー会社のCTIシステム事例
ピザの宅配でのCTIシステム事例
コラム:企業における会計
引用文献
第4章 外部設計書の作成方法
4.1 外部設計工程について
外部設計工程の目的
外部設計と内部設計の違い
なぜ外部設計が重要なのか
4.2 外部設計書について
外部設計書の作成手順
外部設計書の内容
4.3 デザインレビュ
レビュの目的
ドキュメントもソフトウェア
デザインレビュの準備
デザインレビュの実施方法
レビュ記録表の書き方
レビュの進め方のポイント
レビュ完了のタイミング
引用文献
第5章 ソフトウェア開発の基本技術(分析と設計)
5.1 ソフトウェア開発の基本技術―分析―
構造化分析
オブジェクト指向分析
ソフトシステム方法論
5.2 ソフトウェア開発の基本技術―設計―
構造化設計
データ中心設計
オブジェクト指向設計
コラム:図書館システムの仕様
引用文献
巻末付録
システム提案書
開発計画書
チームシート
工程振り返りシート
レビュ記録表
外部設計書
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刷数は奥付(書籍の最終ページ)に記載されています。
書籍の種類:
書籍の刷数:
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対象の書籍は正誤表がありません。
発生刷 | ページ数 | 書籍改訂刷 | 電子書籍訂正 | 内容 | 登録日 | ||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1刷 | 002 17行目 |
3刷 | 未 |
|
2006.11.16 | ||||
1刷 | 034 【引用文献】[1]の西暦 |
2刷 | 未 |
|
2006.10.31 | ||||
1刷 | 099 本文最終行 |
未 | 未 |
|
2010.03.31 |
たいそ さん
2011-01-16
「品質の良いソフトウェアを、いかに効率良く作成するかに関する技術、技法」であるソフトウェアエンジニアリングの考え方、手法。「プロセス」「モデリング」とは何か。「ウォータフォールモデル」、「アジャイル開発手法」(コンカレントエンジニアリング)について述べられている。また「ソフトウェア開発の基本技術、分析と設計」として、「構造化」「オブジェクト指向」について解説されている。これらの内容について再確認することができた。
Oh!グッチ さん
2012-01-28
ソフトウェア業界に関しての知識が得られる書籍。 なにが問題となりえるのかが分かり、非常に参考になりました! また、スキル標準の項がとても興味深く、これを足がかりに色々と調べて行きたい。 情報処理に興味がある人にオススメです!
shimya さん
2011-11-29
非常にわかりやすい。改めてソフトウェア工学の基礎を学ぶのにはうってつけ。技術的な基礎や単にシステム開発の現場の問題を説明するだけでなく、産業界や海外との関係もマクロな視点の内容も含まれている。 いろいろ再確認した。