Stephen P. Berczuk 著
Brad Appleton 著
宗 雅彦 翻訳
宗 雅彦 原著
ソフトウェア構成管理は、ひとつのプロジェクトを複数のチームで作業するなか、その成果物をコーディネートすることで開発現場におこるさまざまな問題を回避する業務を担っています。つまり、分析、設計、実装、テスト、保守などソフトウェアライフサイクル全般にわたって、何が設計され、何が実装されているかを管理するという重要な役割を負っています。欧米で豊富に流通しているこの分野は現在日本に1冊もなく(岩谷宏訳『ソフトウェア構成管理の悪夢-アンチパターン』ソフトバンククリエイティブ、現在絶版)、結果として開発現場では、手探りでソフトウェア構成管理プロセスの構築を模索している状況です。本書は、ソフトウェア構成管理プロセスの構築から実践・運用までをわかりやすく解説。プロジェクト・マネージャ、IT技術者にとって救いの1冊となります。
パート1 バックグラウンド
第1章 システム全体の俯瞰
安定性と進捗の釣り合い
コラム:きわめて遅い開発
アジャイルソフトウェア開発におけるソフトウェア構成管理の役割
ソフトウェア構成管理を取り巻く背景
コラム:シンプルにしよう
チームサポート規範としてのソフトウェア構成管理
ソフトウェア構成管理とは何か
ツールの役割
より広い視野からの考察
本書のアプローチ
検討課題
参考文献
第2章 ソフトウェア環境
一般原則
ソフトウェアが対象とするもの
コラム:ポリシーが作業に与える影響
開発ワークスペース
アーキテクチャ
組織
全体像
参考文献
第3章 パターン
パターンとパターン言語について
ソフトウェアにおけるパターン
構成管理パターン
本書におけるパターンの構造
パターン言語
言語の概観
検討課題
参考文献
パート2 パターン
第4章 Mainline
コラム:ブランチ化への怖れ
ブランチ化モデルの簡略化
検討課題
参考文献
第5章 Active Development Line
コラム:テスト実行の刑
ゴールの定義
検討課題
参考文献
第6章 Private Workspace
コラム:シンプルプラン
自分の作業を分離し、変更を管理する
コラム:ワークスペースを更新して、最新状態を保つ
検討課題
参考文献
第7章 Repository
管理方法の統一
コラム:たくさんあって困る
検討課題
参考文献
第8章 Private System Build
コラム:2通りの真実
大局を見据えた局所的ビルド
検討課題
参考文献
第9章 Integration Build
コラム:非統合的ビルド
集約的ビルドの実行
検討課題
参考文献
第10章 Third Party Codeline
コラム:多少繕ったところで、もう遅い
既存ツールの利用
検討課題
参考文献
第11章 Task Level Commit
コラム:粒度の粗いタスク
細粒度タスクごとのコミット実行
検討課題
第12章 Codeline Policy
コラム:インピーダンス不整合
手順に対するルールの定義
検討課題
参考文献
第13章 Smoke Test
コラム:適切なバランス
基本機能の検証
検討課題
参考文献
第14章 Unit Test
コラム:安全第一
契約に基づくテスト
検討課題
参考文献
第15章 Regression Test
コラム:二歩後退
変更に備えてのテスト
参考文献
第16章 Private Versions
コラム:ツール利用上の注意
プライベートな作業履歴
第17章 Release Line
コラム:単一のコードラインに基づいた開発
リリース前のブランチ化
参考文献
第18章 Release-Prep Code Line
コラム:手持ちぶたさ
コード凍結に代わる方法としてのブランチ化
検討課題
第19章 Task Branch
長期にわたるタスクの取り扱い
コラム:並列開発
分離を目的としたブランチの利用
第20章 参考としたパターン
Named Stable Bases
Daily Build and Smoke Test
付録 A インターネット上のソフトウェア構成管理関連情報
付録 B SCMパターンに対するツールサポート
VSS―Visual Source Safe
CVS―The Concurrent Versions System
PERFORCE
BitKeeper
AccuRev
ClearCase―基本機能(非UCM)
ClearCase―Unified Change Management(UCM)
CM Synergy
StarTeam
PVCS Dimensions
PVCS Version Manager
MKS Integrity(Enterprise Edition)
参考ページ
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kaizen@名古屋de朝活読書会 さん
2014-03-24
構成管理をパターンで整理しておく必要性を感じている。どんどん枝分かれしたものを、いつ、誰が、どのように統合しなおすとよいか。 パターン言語について、もっと学ぶ必要を感じた。またSmoke testという用語が初見。一度に多くの変更をするようになるのを防ぐ方法の一つ。 構成管理の課題では、多く分かれた枝を、どう刈り取って、次の大きな幹を作るとよいかが見えなかった。具体例に則して、本書を読み直してみようと思った。構成管理の道具の役割が見えてきていない。
pggm さん
2013-06-15
2006年の本だから、紹介されている構成管理のツールや概念が少し古い。また「継続的デリバリー」に書かれていることと重複してる部分あり。構成管理のブランチ戦略の基礎知識を学ぶにはよし
mallowlabs さん
2012-02-12
Git も Jenkins も無い時代の構成管理なので、今では当たり前になっていることも多い。ただこの「当たり前」に名前をつけたことは本当にすごいことだと思う。今起きている問題を解決するために読むのはオススメできないが、体系的に構成管理を見直すには良い本。