ヘンリー・チェスブロウ 著
諏訪 暁彦 解説
栗原 潔 翻訳
企業にとってのイノベーションの重要性は敢えていうまでもない。
今日、特に重要になっているのは「オープン・イノベーション」である。
これは、企業が社外のアイデアやテクノロジーを有効に活用する一方で、
自社のアイデアを他社に活用してもらい、イノベーションの価値を高めることである。
オープン・イノベーションには知財(IP)が重要な役割を果す。IPが適切に保護されることで、
IPを取引きするための自由市場が生まれるからだ。IPの管理はテクノロジーのライフサイクル、
および、企業のビジネスモデルに合致したやり方で行なう必要がある。
イノベーション市場においては、イノベーションの仲介者という新たなプレイヤーが登場する。
取引を促進し、イノベーションを加速するための新しい企業モデルである。IP戦略が企業経営で
重要性を増すことに疑いの余地はない。
本書はIP戦略も含め、二律背反と考えられがちなオープン性と知財について、
新しいプロセスと評価基準、そして従来型の戦略の見直しをしながら、
収益モデルを構築するフレームワークを提示する。
第一章 なぜビジネスモデルのオープン化が必要なのか
第二章 オープン・イノベーションへの道筋
第三章 ビジネスモデルの新たな環境
第四章 知的財産の保護強化がビジネスモデルに与える影響
第五章 ビジネスモデル進化のフレームワーク
第六章 イノベーション仲介企業
第七章 知的財産活用のビジネスモデル
第八章 オープンビジネスモデルへの転換
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taming_sfc さん
2018-10-17
オープン・ビジネスモデルの第一人者チェスブロウによる著作。なぜオープン・ビジネスモデルが必要か、ビジネスモデルの新しい環境、知財保護、インベーション仲介企業、知財ビジネスモデル、オープン・ビジネスモデルへの転換について、簡潔にわかりやすく解説する。すでに古典となった必読書。
人工知能 さん
2018-05-06
特許は使用されているものは10%程度に過ぎず、だったらもっと有効に使えないか、と。事業や製品のライフサイクルに合わせて知財戦略も変えていくことで、例えば衰退期に入った事業でもライセンシングすることで製造せずして収益を上げることができたり、研究開発を競合とでも組んでやったり、オープンソフトウェアというやり方でも、特許をうまく活用することで、バリューチェーン上での知財リスクを低減しつつ、他社の持つリソースを活用できるようにもなる。P&Gのようにプル型のオープンイノベーションができたら一番良いと思った。
nojitoshi さん
2011-12-19
遊んでいる知財権を活用してビジネスを広げていく術が、事例を交えて詳しく丁寧に書かれていて参考になる。逆に捉えれば、そんな企業を見つけてパートナーとして組めば、単独では考え着かなかったような新たな事業へ展開していけるということなのだろう。