岩本 沙弓 著
日本にとって円高は本当に悪でしょうか?円高でトヨタやソニーがどうしてそんなに困るのでしょう?今日もどこかでバブル生成・崩壊の危機……その難を逃れることはできるのでしょうか?
いまや日本市場だけを見ていたのでは、ビジネスでも投資でも勝つことはできません。本書では世界のお金の流れの根底で本当は何が起こっているのかを、為替レートの動きと過去・現在に起きた事象を検証しながら、ニュースで見聞きするよりも一歩進んだ内容で解き明かします。
第1章 お金の流れ―世界をめぐる資本の流れ
1-1 1970年代に始まっていたこと “Japan As No.1”と呼ばれた時代
「世界の工場」は、やがてデフレで衰退する
日本に製造業No.1を譲り、米国は覇権を継続
1-2 「リアル・マネー」と呼ばれる人たち 世界の資本は次のターゲットを狙っている
いろいろな種類の投資家が世界中の市場に投資している
市場に大きな影響をもたらすヘッジ・ファンド
1-3 日本のバブルとその後の世界 ロケット・サイエンティストの誕生まで
バブルのお金の出所は、国が行った「為替介入」
バブル崩壊で日本を離れた資金はデリバティブ商品へ
1-4 1990年代前半 中南米とアジア 日本から引き揚げられた資本が向かった先
米国の金利上げ下げでメキシコは右往左往
為替の動きにほんろうされて、アジアも経済危機へ
1-5 1990年代後半 米国 ニューエコノミー:世界中の銭もって来い政策
金融再編に“役立つ”金融破たん
ドル高、ドル安を意図的にくり返す米国
1-6 2000年代前半 中国 アジア通貨危機を生き延びた理由
日本に代わって中国へ世界から投資が集まる
ヘッジ・ファンドの攻勢に屈しなかった香港
1-7 1990年代 欧州 2000年代 BRICs ヨーロッパの憂鬱と新興勢力の底力
ドイツ統一のツケが欧州各国に飛び火
ドイツ統一であえぐ欧州を狙ったヘッジ・ファンド
通貨危機は、結果的に輸出主導の経済の発展へ
30年のサイクルでめぐる為替と経済の流れ
コラム 金本位制が復活するか?
第2章 為替の基本―国境を簡単に越える通貨の世界
2-1 外国為替とはなにか 国同士でお金を綱引き
輸出入に頼る日本に為替は欠かせない
レートは国同士の綱引き
コラム ディーラーの1日
2-2 変動相場と固定相場 動くレートと動かないレート
米国の都合でできた新しい為替システム
中国元の切り上げがスローペースな理由
コラム 独特の通貨文化へのノスタルジー
2-3 為替介入 相場が動き過ぎたとき
レートを維持するために為替介入を行う
投機筋に狙われる固定相場
2-4 為替レート計算のルール 掛け算のレートと割り算のレート
為替市場は対ドルのレートでの取引が主
コラム 為替市場取引ではスピードが命
2-5 直物為替と先物為替 3ヵ月後に届く荷物の値段
未来の値段を取引する先物取引
コラム 世界の資金移動の予兆はフォワード市場に現れる
コラム 真理にたどりつくニュースの見方
第3章 通貨戦争―360円が100円で戻ってくるカラクリ
3-1 基軸通貨が得をする 調整の憂き目にあう非基軸通貨
相場は人の気持ちの集約
歴史的事件の後には3~5割ドル安に
米ドル安で米国は国内産業が潤う
3-2 地域通貨ユーロの誕生 欧州が通貨をつくりたかった本当の理由
基軸通貨のメリットにいち早く目をつけた欧州
ユーロ誕生は基軸通貨のメリットを得るため
コラム ドルの上げ下げは米国次第?
3-3 通貨ユーロ対米ドル 通貨の裏にみえる石油覇権争い
通貨ユーロの誕生と石油の関係
石油はドル決済でないと米国にとって都合が悪い
コラム ロシアのユーロ決済、そしてグルジア紛争へ
3-4 国の“外貨預金”、外貨準備高 ドルの覇権はそろそろ終焉?
日本の“外貨預金”の大半は米国の国債
新興国が外貨をたくさんもち始めている
コラム 過酷な相場の世界で儲かる方法
第4章 バブル生成・崩壊―歴史は常に繰り返される
4-1 近代バブルを振り返る チューリップバブル
バブル生成、崩壊の要因は「見て見ぬふり」
お金と人が集まり、チューリップバブルへ
前例だけの思い込みで、株を買い求めた南海バブル
コラム バブルとウィルス感染の共通点
4-2 世界を巻き込んだ米国のバブル崩壊―世界恐慌 惨状とともに米国時代の幕が開けた
世界的経済学者でさえ「上がり続ける」と断言
経済停滞の中、投機だけが過熱
鉄道から自動車へ―米国独り勝ち時代の幕開け
4-3 1990年日本のバブル崩壊 敗戦からの復活、オーバーシュートした時代
日本のバブルのきっかけは円高ドル安
コラム バブルで誰が得をしたか?
バブル生成のチャートはどれもうり二つ
みんなが買う気持ちになったら末期症状
4-4 ヘッジ・ファンドが起こした円売りバブル ノーベル賞学者でも予想は不可能だった
金融のドリーム・チームといわれた人たち
100年に一度の相場が今日やってきた
コラム 相場はこの上なく平等な世界
4-5 米国ITバブル崩壊 崩壊しても向こう10数年のインフラは整った
IT革命は金融革命でもあった
ITバブル崩壊、そして誰が得をしたのか
4-6 住宅バブル―サブプライムローン 崩壊しても立派な住宅はたくさん残った
住宅バブルをつくったお金
無理な前提が多かったサブプライムローン
これまでのバブルと重なるサブプライムローン
4-7 石油(商品市場)バブル はたしてバブルの領域か?
バブルの公式にあてはめてみる
米国の金融緩和で資金が原油市場へ流れ込む
第5章 金利―世界の金利と日本の金利
5-1 脱デフレ政策=リフレ政策 金利の引き下げでお金の量を増やす
金利を下げることでお金を使う気持ちを盛り上げる
収益を上げている企業は給与を上げるべき
5-2 量的緩和 日本の円が世界にばら撒かれた
お金の量を増やす政策―量的緩和
間接的な資金の供給から、直接的な供給へ
5-3 日本のマイナス金利 お金を預けると損をする
借りるほうが利息をもらうマイナス金利
マイナス金利で借り入れできるしくみ
5-4 世界の景気は順番待ち 米国→欧州(ドイツ)→日本の順番に引き上げられる金利
為替のせいで日本がデフレから脱出できなかった
金利を動かす順番も米国→欧州→日本
5-5 物価急騰の中の低金利 バブル時よりも急激な日本の物価上昇
物価上昇は2006年頃から兆候があった
歴代の消費者物価を比較してみる
コラム 金利が上がると債権の価格が下がるしくみ
第6章 世界のお金を動かす大原則
6-1 米国流ファイナンス 借金体質米国の“上手な”お金の集め方
赤字にすることで基軸通貨のメリットを得る
借金でインフラを整える米国
6-2 歴代FRB議長 マーケットの洗礼を受ける総裁たち
世界経済に多大な影響力をもつFRB議長
就任早々、手腕を問われるFRB議長
コラム FRB議長になってみる!?
6-3 風が吹くと桶屋が儲かる 円高になると日本の株価が上がる?
国と国とのマネーゲーム
大量の資金の発信源は日本の通貨当局
6-4 相場を動かす季節要因 閑散ならば市場は動きやすい
会計年度のスタートは国によって異なる
取引が閑散なときに狙いうちをする
6-5 Buy the rumour Sell the fact イラク開戦時の為替市場
噂が事実になったとたん相場が下がる
6-6 ディーラーの存在意義 ディーラーがいなければ市場が成立しない
ディーラーは相場が動いて初めて仕事になる
ディーラーがリスクをとるからこそ市場が成り立つ
コラム ディーラーと回遊魚の共通点
6-7 為替が美人投票に例えられるわけ 相場を動かすもの。次の材料を探せ
ほかの人は誰が美人だと思うかを当てる
市場は結果よりも予想で動く
6-8 米大統領選と相場の関係 民主ドル安、共和ドル高の関係ではない
どちらの政権でもドル安→ドル高の流れ
6-9 円高は悪か? 円高→内需拡大→日本株上昇
輸入時の円安はダメージにならない
コラム 円高に進むとおちおちしていられない
6-10 正しい為替レートとは ビッグマックで為替レートを逆算
同じモノの値段は世界のどこで買っても同じはず
コラム 情報はオープンデータで十分
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刷数は奥付(書籍の最終ページ)に記載されています。
書籍の種類:
書籍の刷数:
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発生刷 | ページ数 | 書籍改訂刷 | 電子書籍訂正 | 内容 | 登録日 | ||||
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1刷 | 060 下から10行目 |
2刷 | 未 |
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2009.02.13 | ||||
1刷 | 086 上から10行目のおわり |
未 | 未 |
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2009.07.09 | ||||
1刷 | 104 10行目 |
2刷 | 未 |
|
2009.02.13 | ||||
1刷 | 109 最終行~110ページにかけて |
2刷 | 未 |
|
2009.02.13 | ||||
1刷 | 110 3行目 |
2刷 | 未 |
|
2009.02.13 | ||||
1刷 | 174 表内 |
2刷 | 未 |
|
2009.02.13 |
tonpi さん
2012-05-25
わかりやすいよ^_^
brawi さん
2009-05-08
バブルの生成から崩壊までチューリップバブルから最近の原油高まで歴史をさかのぼって調べてありすばらしい。アメリカの為替戦略の話には目からウロコ。
peppo さん
2010-03-19
個々の説明は事例を交えて初心者でも解りやすく説明されていて読みやすかったです。