近年、介護福祉の文脈で注目を集めている自分史を、認知症の方と一緒に作れるように、ノウハウをまとめました。
【アルバム自分史とは?】
アルバム自分史とは写真とコメントで構成された、アルバム形式の自分史です。アルバム自分史の制作過程と制作後の活用は、認知症の症状緩和に効果があり、また多くのコミュニケーションを生むことから、介護福祉の現場で注目を集めています。認知症のご本人を理解することで、本人の問題行動を減らし、介護負担を軽減することにもつながります。言うまでもなく、アルバム自分史は一冊の本としても、本人にとって読むことが楽しいだけでなく、そのご家族にとっても自らの親やご先祖について知ることができる貴重な情報となります。
【本書の特徴】
●アルバム自分史作りが認知症にどう効果的なのか、具体的に解説しています
●効果を最大限に引き出す作り方を紹介しています
●ご家庭や介護施設で制作できるように、作り方のポイントを解説しています
【こんなときに活用できます!(一例)】
●(ご家族)認知症の親の症状を予防、緩和したい
●(ご家族)親の喜ぶものをプレゼントしてあげたい
●(ご家族)親の記憶がはっきりしているうちに、親の歴史をまとめておきたい
●(介護施設)介護施設のひとつのサービスとして、自分史制作を取り入れたい
●(介護施設)介護施設が制作する際に気をつけるべき注意点を知っておきたい
●(ご本人)自伝を書くのは大変だが、簡単な自分史を作れるなら、作ってみたい
【目次】
序章 制作体験談
第1章 アルバム自分史作りが認知症を緩和させる
第2章 認知症緩和の効果を高める作り方
第3章 アルバム自分史の作り方
第4章 アルバム自分史の活用方法
自分史制作は、昔の出来事の回想を促すことにつながるため、認知症の予防や緩和に効果があります。本書では、手作りができる簡単な自分史として、写真と短いコメントだけで作る「アルバム自分史」を紹介しています。認知症の症状がある高齢者の方とお話ししながら、ご本人のアルバム自分史を作ってみませんか。
どなたでも高齢者ご本人のアルバム自分史の制作をしてあげることができますし、身の回りにあるもので、簡単に制作を始めることができます。 本書の中では、ご本人の認知症の予防や緩和に効果が高まるような、お話の聞き方なども紹介しています。
制作過程で、家族でも知らなかった話を聴くことができたり、完成後は一族の貴重な資料としての価値も生まれます。 福祉施設の職員さんにとっても、ご本人を深く知ることで、よりご本人にあった、質の高いサービスが提供できるようになります。また、認知症による問題行動への対処の鍵が見つかるかもしれません。
ご両親の認知症はなかなか認め難いものですが、気持ちの整理がつき、受け入れられるようになってきたら、ぜひご検討ください。 介護の段階が進んでしまっている場合であっても、制作を通じて親の人生を改めて知ることで尊敬や感謝の気持ちがわき、見方が変わっていったという事例もあります。
巻頭特集
事例紹介・娘が母のアルバム自分史を制作したケース
事例紹介・第三者が高齢者のアルバム自分史を制作したケース
制作に便利な道具や材料
制作MAP
第1章 アルバム自分史作りが認知症を緩和させる
お年寄りは昔話が得意
思い出すことは脳に良い
自分史の活用は認知症介護の問題解決に貢献できる?
アルバム整理が思い出す作業を助ける~回想法による認知症緩和の事例~
昔を思い出す「回想法」~国内外での活用事例~
第2章 認知症緩和の効果を高める聴き方
聴き手が話し手を導く
話を促すあいづちの打ち方
話し手を理解する
話し手との信頼関係の築き方
ご家族や介護をする人へ
第3章 アルバム自分史の作り方
誰が作るか
いつ作るべきか
家族の心理状態について
家族への自分史制作の説明と許諾
本人への説明、本人の心の状態と準備
アルバム原本の取扱い
写真の選び方
文章を作る
情報を補足する
辛かった出来事の扱い方
美しくレイアウトするために
タイトルを付ける
キャプションを付ける
奥付を付ける
完成後の再編集
権利について注意すべき点
第4章 アルバム自分史の活用方法
介護現場での活かし方
お試し感覚で楽しめる1枚自分史レクリエーション
巻末特集
自分史作りのプロ:橋本記者
認知症ケア研究のプロ:西田博士
制作同意書
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小鈴 さん
2019-12-08
パラパラと。タイトルの文字通り認知症のアルバム作りのノウハウがつまっている。このアルバムがあることで本人や家族、介護者、施設の方も理解が深まる。よいところはアルバム作りは本人や家族の意志が大切。断られることもあることを示している。同意の取り方は家族→本人の流れがいいそうです。細かいところまでノウハウがつまってます。制作同意書、著作権の配慮まで。この手の分野は『驚きの介護民俗学』がパイオニアだが、具体的な制作手法はこちらの方が役に立つだろう。あとがきが衝撃的で著者の自分史を読みたくなりました。