長岡 健 著
社会変化のスピードが急速にアップし、これまで有効だった知見・経験がすぐに陳腐化していく時代を迎えています。
また、人々の価値観が多様化する中、経済合理性のみに固執する考え方が、企業活動にとっても負の影響を及ぼすようになりつつあります。
個人にとっては、会社や上司の指示通りに学んでいればよかった時代は終わりつつあり、目指すべき方向を自分自身で見定め、主体的に変わり続けることがキャリアにおいて決定的な意味をもち始めています。
「なぜ、自分は学ぶのか」を考えながら、進むべき方向や、目指したい未来像を主体的に探索し、私たち自身が変わり続けた先にあるのが、古い価値観や慣習にとらわれないワークスタイルや、未来の常識を先取りしたライフススタイルだと、著者は考えています。
本書では、このような意味での新しい働き方・生き方を、「アンラーニングしながら働き、生きる」と表現します。
時代を先取りした新たな働き方・生き方と新たな意味をもつ学習とを結びつけるキーワードとして「アンラーニング」を位置づけ、新たな仕事観と新たな学習観の関係を探っていきます。
そのために、「学習=目的達成のための知識・スキルを効率的に習得すること」という見方を一旦脇におき、組織に縛られることなく、個性豊かなワークスタイルを実践している先駆者5人に着目します。
5人の中に渾然一体となって埋め込まれている新たな仕事観と新たな学習観を、学習研究者(著者)の視点から読み解いていきます。
そして、「働くこと、生きること」と「学ぶこと」をめぐる探索と対話を展開しながら、予見困難で多様性溢れる時代を生きる大学生や若手社会人にとっての新たなワークスタイルやライフスタイルの可能性や、それらを切り開いていく創造的な活動としての学習の姿を探っていきます。
■第1部 アンラーニングする人たち
1章 新しいワークスタイルを切り開く先駆者
組織に縛られない〝心の自由さ〟
組織に依存しない新しいワークスタイル
「仕事の報酬は学習機会」というスタイル
「遊ぶように働く」というスタイル
「見返りを求めない人間関係」というスタイル
「活動にラベルを貼らない」というスタイル
「実務家として社会を描く」というスタイル
先駆者の個性を際立たせる3つの原動力
■第2部 アンラーニングをいざなう
2章 自分自身を揺さぶる越境というスタイル
越境でモヤモヤ感を味わおう
脱予定調和を楽しもう
ビッグアイデア・クラウドというゆるい関係
公私の間にある共(common)のマインドセット
試行錯誤を楽しむための直感と好奇心
成果よりプロセスを大切にしよう
3章 脱予定調和的な場を自作自演する
アンラーニングが結果、越境がプロセス
越境という〝漢方薬〟で予防する
ワークショップという〝外科手術〟で治療する
場づくりを学習活動として理解する
場づくりの〝達人〟との対談(1)
場づくりの〝達人〟との対談(2)
場づくりでもプロセスを大切にしよう
3.5章 ここまでの〝旅〟を振り返る~手段化しない働き方・生き方~
■第3部 アンラーニングを捉える
4章 学習を手段化する人材育成的視点
学習科学者がビジネス界にやってきた
ビジネス界に輸入された学習科学の成果
ビジネス実務家の実践的な有能さ
経験学習論と人材育成が出会った時
輸入版経験学習と人材育成的学習の誕生
「突貫工事のエキスパート」への無言の圧力
学習の手段化が「茹でガエル」を生み出す
学習の手段化を助長する「問題解決症候群」
アンラーニングさえ手段化される
異なる意味をもつ2つのアンラーニング
アンラーニング術からアンラーニング論へ
5章 アンラーニング論を語り合う
自分探し中のあなたへのアンラーニング論
5人の〝先駆者〟からアンラーニング論を紡ぎ出す
社会人のあなたとアンラーニング論を語り合う
アンラーニング論的な〝心の自由さ〟とは?
大学生のあなたとアンラーニング論を語り合う
そして、アンラーニング論を語り続ける
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の さん
2022-02-03
ビジネス界でのアンラーニング事例、面白かった。でも、必ずしもアンラーニングとも言い切れないものもあったと思うのは気のせい?
tkokon さん
2021-12-25
【自己を揺さぶる】○アンラーンとは予定調和を破壊し、あえてなじみのない不安定な環境に身を置き、自分の中の「正しさ」を揺さぶることで得られる。○欲しいものを獲得する「手段」「プロセス」ではなく「知らない世界に行く」○そのための心持ちとして「世の中の正しい」ではなく、「自分が正しいと思う」「自分が興味を持つ」●本書に出てくる人物はこうした境界を軽々と超えていく。学びの位置づけを変える。「自然体」「心の自由」「成果でなくプロセス」。自分を深く掘り、その結果を胸に携えながら、開かれた世界に出ていく。この両立。
さわでぃー さん
2022-01-19
越境者の事例をもとに変化に対応するためのアンラーニングと学習を解き放つためのアンラーニングに触れている