2014年に刊行された『広告ビジネス次の10年』(翔泳社)で本書の著者らが予想した、次のような今後10年の広告ビジネスの動向は今では自明のものとなっています。
・データを使ったマーケティングが主流になる
・ネット広告の効果指標に「認知」「態度変容」が加わる
・動画広告用のクリエイティブ開発が進む
『広告ビジネス次の10年』刊行後、コネクテッドTVの普及、ターゲティング広告への規制強化、各種動画配信サービスが広告を配信、メタバース、テスラ車など、テクノロジーの進化による新たな広告の舞台の誕生など、広告ビジネスに大きな変化が起こっています。
こうした動きを受け、本書では再び今後の広告ビジネスの動きを予想しています。
特に2023年は、2030年に向けての大きな変化が始まる年になります。
2030年まで続くトレンドになると思われる事象として、次の7つがあります。
・「マーケティング支援」から「事業支援」へ
・日本ローカルのデジタル化 vs. グローバルデジタル
・広告クリエイティブのAI化が本格始動
・エージェンシーとSIerとの連携協業が始動
・SNS起点のコミュニケーションプランニングはCMクリエイティブにまで到達
・マーケティングコンサル vs. ITコンサルの攻防激化
・YouTuberビジネスの終焉とコンテンツの見直し~テレビ番組の凋落は続く~
本書では、こうした事象に対応すべく、「デジタル化の次のビジネスモデル大転換」として、デジタル化に対応できたとしてもどんどん儲からないビジネスになっていく広告代理業が、ビジネスモデルをどう転換せざるを得ないか、またそのためには第一ステップとして現業をどう再構築するしかないかに言及していきます。
【本書の構成】
Introduction 2030年まで続くトレンド
第1章 この10年の変化とコロナ禍による前倒し現象
第2章 広告とマーケティングの「変化」は経済の「先行指標」
第3章 データ利活用の常識が逆転して非常識に
第4章 マーケティングはどう変わるか?
第5章 「広告(会社)」「マーケティング」という呼称定義が常に拡張している
第6章 メディアはコネクテッドTVの時代に
第7章 激変する業界地図
第8章 広告代理店のビジネスモデルの激変
第9章 次世代広告人に求められる機能とスキル
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(翔泳社)
本書執筆時の2023年は、2030年に向けての大きな変化が始まる年になると思います。まず、今まで堅調に成長してきたデジタル広告も頭打ちになります。マスメディアやプロモーションメディアが減る分をネット広告やデジタル広告がとって代わることで、プラマイゼロだった広告メディア市場が全体でも減少するかもしれません。
(中略)
広告代理店も旧来のメディアレップ(メディアの代理)をやっていたら、まったく成長しません。同じようなビジネスを継続しようとすれば、クライアントレップになるしかありません。しかし、今のやり方で本当のクライアントレップになるとまったく儲からなくなります。アクセンチュアのように単価の高い人財をクライアントに送り込んでくるビジネスに太刀打ちできません。どんどん良い人財を獲得できなくなります。人財がすべてですから、そうなったら復調も次のビジネスモデル獲得もかなわないでしょう。そして何よりもコンサル系との競合が進み、広告業界というくくりに意味がなくなります。広告業界という「業界」がなくなるのです。こうしたことが2023年に業界内外に認識されると思われます。
さあ、どうする。どうする代理店!
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