鷹尾 祥 著
Excelによるデータ活用は、業界・業種にかかわらず広く行われています。しかし、様々な関数やピボットテーブルなどを駆使して「元データを直接加工する方法」では、毎回大きな手間が発生します。そして、これを自動化するには、マクロやVBAの知識が必要となり急に敷居が高くなります。
本書では、Excelの新機能を利用した誰にでも取り組みやすい方法で自動化を実現します。業務ユーザー自身が、データ活用・分析業務の効率化を実現できる新しいアプローチです。
レポートを瞬時に更新して再利用でき、定点観測ができるため、本来の意味の分析ができます。メンテナンス性もよいので、レポートの改善も容易にできます。
■自動化のための7つのステップ
本書では、以下の7つのステップにしたがって作業を進めます。
1.みたてる:手元にあるものと欲しいものへの道筋をイメージする
2.とりこむ:手元にある生データを、応用可能なデータに変換し、テーブルの形に落とし込む
3.つなげる:役割に基づいてテーブルどうしを論理的に結びつける
4.ならべる:表の形にして、計算結果を求めるための文脈を配置する
5.かぞえる:文脈を受け取る共通の計算式を作り、数字としての集計結果を見せる
6.えがく:グラフ形式で文脈と集計結果を物理的なイメージとして見せる
7.くりかえす:新しいデータを吸い上げて、新しいレポートを完全自動で作り上げる
■対象読者
ITの専門家ではなく、データ活用・分析担当者(営業・購買・経理問わず)全般。Excelの基本操作、簡単なExcel関数、ピボットテーブルについての知識があると、よりスムーズに読んでいただけます。
■本書の動作環境と画面イメージ
本書は執筆時のOffice365の環境で解説しています。画面イメージも同様です。
プレインストール版およびパッケージ版のExcelの画面とは一部異なる場合があります
Office365以外の環境での動作は確認しておりません。
[第1部]理論編
[第1章]Excelの常識を変えるExcel BIの登場
1 Excel誕生以来の革新
社内に散らばるデータをまとめて取り込むパワークエリ
データの骨格を作るパワーピボット
縦横無尽の集計を可能にするDAX
KPIを一覧できるダッシュボード
2 マクロ・VBAによる自動化の限界
習得に時間がかかるプログラミング言語
プログラムのブラックボックス化
遅い実行速度
3 Excel BIのテクノロジー
プログラム不要で誰でも作れる
「見える化」されたプロセス
ハイ・パフォーマンス
4 テクノロジーの進化が「発想の制約」をなくす
インフラ環境の制約がなくなる
アプリケーション開発の制約がなくなる
発想の制約がなくなる
[第2章]Excel BIによる全自動レポートの仕組み
1 「集計」と「分析」の違い
2 データとロジックの徹底分離で「定点観測」レポートを実現する
「定点観測」アプローチ
1回きりのレポート=One-Timeレポートの悲劇
定点観測アプローチのメリット
3 「骨格」を作ってデータを集める
定型レポート=One-Patternレポートの悲劇
データの骨格=「データモデル」
骨格を支える骨=「テーブル」
骨と骨をつなぐ関節=「リレーションシップ」
「データモデル」で何ができるか?
4 インタラクティブ・レポートでデータを「表現」
「条件」に沿って「集計」をするピボットテーブル
データモデルで必要なデータを「連鎖選択」
変化する条件に対応した計算式「メジャー」
データを覗く「窓」=インタラクティブ・レポートによる「表現」
5 インタラクティブ・レポートがおこす変化
[第2部]実践編
[第1章]実践にあたって
1 「パワーピボット」について
2 本書で掲載している画面イメージについて
3 レポートを作る際の心構え
とりあえず「試作品」を作る
どこで何の機能を使うのかを明確に
作るときに考えて、繰り返すときは考えない
後で忘れても困らないように
意識しなくても要点が目に飛び込んでくるレポートを
[第2章]星型データモデルで7つのステップをマスター
生きたレポートを作るための7つのステップ
1 みたてる
インプット情報の棚卸し
データモデルの下書き
アウトプットのラフスケッチ
2 とりこむ
サンプルファイルの準備
「売上明細」をとりこむ
「顧客」をとりこむ
「商品」と「社員」をとりこむ
「支店」をとりこむ
「カレンダー」を作る
作ったクエリのグループ化
3 つなげる
リレーションシップでテーブルをつなぐ
ダイアグラムビューについて
4 ならべる
ピボットテーブルを呼び出す
確認用項目を「値」に
「G_商品」テーブルの項目を「行」に
「G_カレンダー」テーブルの項目を「列」に
スライサーを追加する
仕上げのレイアウト調整
5 かぞえる
「売上合計」メジャーの追加
「メジャー」と「値フィールドの設定」の違い
「販売数量合計」メジャーの追加
「平均単価」メジャーの追加
詳細の表示=ドリルスルーについて
6 えがく
ピボットテーブルからピボットグラフを作らない
ピボットグラフはゼロから作る
ピボットグラフとテーブルはスライサーでつなぐ
グラフを含めたレイアウト調整
7 くりかえす
データソースの更新
レポートを更新して「定点観測」
「バックグラウンドで更新する」設定について
「数字テーブル」のコンパクト化
[第3章]商品ごとの収益性を見る
1 「クエリのマージ」で2つのテーブルを結合
接続用「F_商品」クエリの用意
「F_商品」を「F_売上明細」にマージ
「G_商品」まとめテーブルの簡素化
ピボットテーブルで追加項目を確認
2 利益率のドリルアップ・ダウン
「商品別収益性分析」ピボットテーブルの用意
「割引合計」「利益合計」「利益率」メジャーの追加
「利益率」メジャーをドリルアップ・ダウンに対応
3 条件付き書式はメジャーに設定
[第4章]商品カテゴリー・商品別の売上構成比
1 総計に対する売上構成比
「商品カテゴリー別売上構成比」ピボットテーブルの用意
「連鎖選択」の流れ
G_商品の選択条件を解除して「総計」を出す(ALL関数)
「総計」に対する「商品カテゴリー」の割合を出す(DIVIDE関数)
スライサーと選択条件の解除(ALLSELECTED関数)
2 小計に対する売上構成比
ピボットテーブルに「商品名」を追加
「商品名」項目の選択条件を解除して小計を出す
「小計」に対する「商品」の割合
3 商品カテゴリーと商品レベルでの表示の切り替え
有効なフィルターを知る(ISFILTERED関数)
商品カテゴリーと商品で表示を切り替える(IF関数)
データバーには最大値と最小値をセット
[第5章]当期売上累計
1 当期売上累計その(1)詳細パターン
「当期売上累計」ピボットテーブルの用意
「当期累計」フィルターの作り方
2 当期売上累計その(2)タイムインテリジェンス関数
タイムインテリジェンス関数で当期累計
集計を行っている期間を「見える化」する公式
当四半期累計と当月累計
[第6章]売上前年比較
1 1年前の数字を持ってくる
「前年同期比」ピボットテーブルの用意
前年度の単期売上を取得する
2 前の年と比較する
売上の前年同期比(単期)
将来の日付を隠すために「今日」の日付を持ってくる
売上の前年同期比(累計)
3 条件付き書式で前年比較
[第7章]予算vs実績比較
1 予算vs実績比較の見立て
予算ファイルの構造
「ダイヤ型データモデル」について
2 複数Excelファイルの一括取り込み
「フォルダーから」予算ファイル一覧を取得する
「カスタム列」でデータを一括取得
ピボット解除で横に並んだデータを縦に
テキストを日付データに変換
仕上げと予算データのとりこみ
3 「G_商品カテゴリー」まとめテーブルの作成
4 ダイヤ型データモデルを作る
「F_予算」と「G_支店」をつなぐ
「F_予算」と「G_カレンダー」をつなぐ
「F_予算」と「G_商品カテゴリー」をつなぐ
「G_商品」と「G_商品カテゴリー」をつなぐ
5 予算と実績を比較する
「予算実績対比」ピボットテーブルの用意
予算の合計と累計のメジャーを作る
予算vs実績比較のメジャーを作る
6 一人当たりの生産性分析
[第3部]応用編
[第1章]ダッシュボードを作る
1 ダッシュボートとは何?
2 RFM分析を行う
G_カレンダーの下準備
RFM分析のメジャーを作る
3 予算進捗&前年比較グラフを作る
そのままの粒度(月単位)でグラフを作る
予算数値の「粒度」を細かくする
グラフの「最終日」以降をブランクにする
4 ウォーターフォール図を作る
ピボットグラフで使用できないグラフを作るには
「数式に変換」でピボットテーブルをCUBE関数に変換
ウォーターフォール図を作る
5 仕上げのレイアウト調整
営業担当別直近1週間の実績レポートの追加
タイトルとレイアウトの調整
[第2章]パワーシェルによる自動化
1 パワーシェルについて
2 パワーシェルを使ってみる
パワーシェルを起動する
最初のパワーシェル・スクリプトを実行してみる
パワーシェルでファイルを操作する
3 パワーシェルでExcelファイルを更新する
特定のExcelファイルを開く
Excelファイルのパワークエリを更新する
Excelファイルを保存して閉じる
一連の処理を通しで実行する
4 スクリプトの保存と実行
スクリプトの保存
「実行ポリシー」の変更
5 Excelの自動バックアップ、連続更新、PDF発行
更新したExcelファイルにタイムスタンプをつけて自動保存
更新リストを作ってExcelファイルを連続更新
連続してPDFファイルを発行する
6 タスクスケジューラで決まった時間に実行する
7 自己証明書の作成とps1への署名の作成
実行ポリシーの変更
コードサイン証明書を作成する
スクリプトに署名を付与する
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