T. S. Stribling 著
倉阪 鬼一郎 翻訳
倉阪 鬼一郎 原著
『カリブ諸島の手がかり』の名探偵ポジオリ教授が帰ってきた。同シリーズに惚れ込んだエラリイ・クイーンの要請によって復活した教授が、またしても数々の奇妙な事件に遭遇、心理学的推理を駆使して謎の解明に挑む。法律の罰し得ない完全犯罪をもくろむ殺人者との対決をえがいた「ジャラッキ伯爵、釣りに行く」「ジャラッキ伯爵への手紙」、旅行先のメキシコで、人々が見守るなか闘鶏に蹴られて死んだ老人の謎を追う問題作「81番目の標石」、異常に低い検挙率にもかかわらず、盗まれた金はすべて持ち主のもとに戻っている、地方都市の異常な状況に隠された秘密をあばく「警察署長の秘密」など、ミステリーのもう一つの可能性を追求したポジオリ探偵譚、全11編を収録。
掴み所のないような出だしなのに、途中から異様に高まってくる緊張感、奇妙な殺人方法と犯罪者像、そして、切れ味鋭く、それでいて後を引くような幕切れ・・・。(中略)ストリブリングは、それまでの本格ミステリーが基盤としていた近代合理主義に、《向こう側》の論理を持ち込んでいた。私はそこに、新しいミステリーの可能性を見たような気がしたのである。
―山口雅也(巻末エッセイより)
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ネムル さん
2021-05-15
まあ色々あったわりには、何事もなかったの如く続くポジオリ教授シリーズ。今作の舞台はメキシコ。「八十一番目の標石」はミステリがあちら側に突き抜けてしまう問題作だが、なんかベナレスと比べてしまうな。むしろ政治への辛辣なコメントがささる、社会派系の作品のがよかった。
matsu さん
2015-08-13
前々作の「カリブ諸島の手がかり」はアンチミステリの香り漂う衝撃作だった。古本屋で本書を見つけたとき、数年前に体験した衝撃は薄れ、作者の名前も忘れかけていた。買ってよかった。白人の探偵が異文化圏で生活し、謎に出くわし、ダーティーな論理で解きほぐす。カリブ諸島では全然解決してないのに名探偵扱いされていくという展開だったが、本作では勝率低めながらちゃんと探偵役が務まっている。犯人あるいは被害者の超独善的でねじくれた論理が癖になる。「平和のための原子爆弾」より「虐殺の末の肥沃な大地」を好む探偵もいい。お気に入り。
tara さん
2016-07-08
ポジオリもの作品集の3冊目。皮肉を効かせた作品揃い。ワトスン役を得たポジオリが未だかつてなく名探偵然としているのが印象的。ともすれば“こじつけ”に感じられてしまう“心理的証拠”に説得力が伴った比較的スタンダードな探偵譚「個人広告の秘密」が好み。