「きれいに見えるまな板も、ミクロで見ると雑菌が一杯!」「でも、この○○クリーナーを使えば大丈夫!」……こんなテレビCM、よく見かけませんか?
最初に脅しをかけておいて、即座に解決策を提示することで、視聴者の購買意欲を高める――テレビCMの常套手段なのですが、実はこの構成、成功するプレゼンテーションの典型的な手段でもあるそうです。何気なく見ているテレビCMですが、プレゼンに使える様々なヒントが隠されているわけですね。
……などとエラそうに薀蓄をタレましたが、実はこのお話、『PowerPoint ビジネスプレゼン [ビジテク]第2版 論理を磨き・信頼を獲得し・心を動かすプレゼンテーション』に書いてある内容です。
2009年に刊行された本書の第1版は非常によく売れたのですが、今回第2版の編集作業を手掛けてみて、売れた理由がよくわかりました。とにかく内容が説得力に富んでおり、しかも非常にわかりやすいんです。
考えてみればそれも当然で、本書の著者はマッキンゼー出身の敏腕戦略コンサルタント。現在も大学やビジネススクールでプレゼンやマーケティングについて教えておられる方で、いわばプレゼンのプロ中のプロなんですね。「話に説得力があり、わかりやすい」のも頷けます。だってその道のプロなんですから。
打ち合わせを兼ねて何度かお会いしたのですが、そのパワフルな説得力には圧倒されっぱなしでした。だって、そもそもお住まいが六本木ですよ。もうその時点で説得力が違います。奥様もおきれいで、出されるコーヒーも本当に美味しくて(絶対宮本亜○が知ってる味じゃなかった)、「天は二物を与えず」って絶対嘘だよなーと思いました……って何の話をしてるんだ。
とにかく、「プレゼンテーションが苦手」と感じている人がいたら、ぜひ本書をご一読ください。苦手なのは「センスがないから」ではなく、「成功するノウハウを知らなかったから」だということが理解できるはずです。
最後に、本書についての裏話をひとつ。読者が理解しやすいよう、本書はストーリー仕立てで解説しています。ちなみに第2版では、「スプラッシュ社」という架空の飲料メーカーが舞台です。競合企業「WF&B社」の新商品によって売上が圧迫されたため、シェア奪還を目指して新商品のプレゼンテーションを行う……というのが本書の設定です。
一方第1版では、第2版で競合となる「WF&B社」が舞台になっていました。スプラッシュ社のシェアを奪うため、新商品開発のためのプレゼンテーションを行う……というのが第1版の設定だったんです。
つまり第2版は、第1版の後日譚になるわけです。第1版はWF&B社がスプラッシュ社に対抗するための話、第2版は、逆にスプラッシュ社がWF&B社に反撃する話なんですね。もし第1版を持っているという方がいたら、ぜひ第2版と読み比べてみてください。両者の内容がリンクしていることがわかるはずです。
……以上、本書の内容を「プレゼン」してみました。僕は皆さんの心を動かすことができたでしょうか。
いしはら