日本においてもようやく「デザイン思考」の普及や、企業によるオープンイノベーションのための場の開設が盛んになってきました。イノベーションを冠したシンポジウム、ワークショップなども活発化しています。
しかし、現段階においてはそこから期待通りにイノベーションが生まれるようになってきている状況とは言えません。むしろワークショップやイベントをセッション的におこなったり、そのための施設を作っても成果に結びつかないという声も聞かれるようになりました。
本書は、こうしたイノベーションを起こす「場の方法論」について包括的に著す日本初の試みとして企画された、イノベーションのためのレシピ本です。
紺野登氏の提唱する「よい目的が知識社会、知識経済を動かす」という考え方に立った「目的工学」を核に、イノベーションを起こすための「場」{フューチャーセンター(FC)、イノベーションセンター(IC)、リビングラボ(LL)}のデザイン方法、そうした場の活用方法・活用事例、ワークショップツールキット等、を紹介しています。また産官や地域社会との連携の仕組み、各企業の実践事例などもくわしく解説しています。
【主な内容】
・「場の方法論」と「目的工学」の考え方
・オープンイノベーション2.0について
・「賢い場=WISEPLACE」というコンセプト
・「知識創造」のプロセス(SECIモデル)と変革の方法論
・「大目的」「中目的」「小目的」の立て方
・プルーラルセクターによるイノベーション
・フューチャーセンター(FC)、イノベーションセンター(IC)リビングラボ(LL)
・マツダ、ソニーなどのプロジェクト事例
・目的工学のためのステップづくり
・目的工学ワークショップのためのツール、フレームワーク
・目的工学ワークショップ実録・事例
・大学・企業と地域社会の連携のケース
・目的工学ワークショップのデータの分析と視覚化の方法
・ソーシャルイノベーションと目的工学のアカデミックな背景、他
第1章 「場」がイノベーションを生み出す
・なぜ場がイノベーションに不可欠なのか?
・「場」が創る次の社会
・「オープンイノベーション2.0に向かって
第2章 イノベーションの「場」のデザイン
・「場」の方法論とは何か
・イノベーションを生み出す3つのWISEPLACEの特性
・WISEPLACEをイノベーションが起こる美味しい場とするために
第3章 イノベーションとは目的のことである
・イノベーションは「知識創造」のプロセスがもたらす
・人は「目的」により駆動する
・個人の主観から集団における相互主観の融合へ
・新エンジン開発にみる「目的」の力:マツダ
第4章 目的工学とは、イノベーションの「場」に必要なOS
・場と目的の実践的関係
・目的を創出・マネジメントする基本的な考え方
・目的工学プログラムのステップ
第5章 目的工学ワークショップ
・目的工学アプローチによるワークショップとは
・目的工学ワークショップの進め方といくつかのタイプ
・目的形成のパターンとワークショップ用ワークシート
・持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals:SDGs)
第6章 目的工学ワークショップ実録
・産官(官民)における連携のケース
・大学・企業と地域社会の連携のケース
・イノベーションキャンプのメソドロジー
第7章 データで議論を視覚化する
・ワークショップの議論を視覚化し、構造化する
・大・中・小目的群をコンセプト・コンパス・チャートで共有する
・駆動目標をマッチング・マインド・マップで創出する
・「連関データ分析」はイノベーションを駆動できる
第8章 ソーシャルイノベーションの時代と目的工学
・ソーシャル(社会的)イノベーションの要請
・製品イノベーションとサービスシステムイノベーション
・サービスシステムにおける目的と目的工学への期待
第9章 目的工学でプロジェクトを動かせ
・目的工学に基づいてイノベーションを実践する
・オープンイノベーションと目的工学
・ソーシャルイノベーションと目的工学
・ソニーの目的工学的プロジェクトマネジメント
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